2003年10月22日(水)

再開する6か国協議の見通し

 6ヶ国協議の再開は早けれ10月にもと言われていたが、年内開催の見通しもまだ立っていない。北朝鮮をテ−ブルに着かせるためブッシュ大統領はAPEC首脳会議で北朝鮮が求めている安全の保証について不可侵条約は呑めないが、文書化する方法を検討すると譲歩を示唆していた。

 大統領の書簡あるいは親書という形式を取るのか、6ヶ国による共同宣言にするのか、それとも米朝共同声明という形になるのか、北朝鮮の対応次第では「第2のジュネ−ブ合意」が成立する可能性も十分に考えられる。但し、そこまでたどり着くには幾つもの難関がある。第一に北朝鮮が不可侵条約を諦めるかどうかだ。

 北朝鮮が国家間の条約にこだわるのはブッシュ政権に替わったことで前任者(クリントン大統領)の約束が反故にされ、米国の対北政策が180度変わったことによる。こうした苦い経験から北朝鮮は国家間の取り決めを求めているものと思われる。

 また、米国以外の安全保証は北朝鮮にとっては不要だ。中ロとは友好条約があり、韓国とは不可侵宣言を交わしている。日本とは国交正常化を前提とした「平壌宣言」が存在する。第二に、北朝鮮が核を完全に放棄するかどうかだ。北朝鮮は核開発や開発計画の放棄については公言しているが、すでに保有している核の放棄については一言も言及していない。

 将来は製造しないことに同意し、核施設を解体したとしても、現在保有している核爆弾は最後の最後まで手放すことはないだろう。その前に「北朝鮮が核放棄に進展を見せること」という条件を受け入れるかという問題もある。

 第三に、米国が金正日体制をどう保証するかだ。

 米国は@北朝鮮を攻撃しないA金正日体制を瓦解しないことを誓うようだが、それを実行するには朝鮮半島での軍事演習も「脱北者」の支援も止めなくてはならない。極論を言うならば、北朝鮮の人権問題について米政府当局者は今後、一切口出しできなくなる。

 従って、仮にどのような合意、妥協が図られようともそれは一時凌ぎに過ぎず、再び対立という局面に戻ることになるだろう。朝鮮半島の歴史は対話と対立の繰り返しであることを一時も忘れてはならない。