「福田政権も拉致問題解決なくして日朝国交正常化はない」
衆議院拉致問題特別委員会(08年4月10日)


 答弁者は町村官房長官、高村外相、小野寺五典外務副大臣、谷口隆義総務副大臣、山本明彦内閣府副大臣、河井克行法務副大臣、高橋正樹総務省大臣官房審議官、河内隆君内閣府大臣官房拉致被害者支援担当室長、池田克彦警察庁警備局長、河野正道金融庁総務企画局審議官、北田幹直公安調査庁次長、斎木昭隆外務省アジア太平州局長

「総連施設の固定資産減免措置をしっかり調査せよ」



△鷲尾英一郎議員(民主党)


 ――今、中国と北朝鮮がかなり経済連携を深めているという報道がございまして、道路、鉄道整備含めて、人民元の決済を追認したとか、いろいろな報道があるわけですけれども、これに関連して、やはり日本の経済制裁が効果が薄まってしまうのではないかという懸念もあるわけです。日本がやっている経済制裁が効果が薄まってしまうのではないかという懸念がある中で、では、経済制裁以外にどういうことを北朝鮮に対して、制裁措置に匹敵するような、北朝鮮の資金源をできる限り抑えていくんだ、そういう方向性の中で、日本政府としてどういう政策がとれるのかということを少し議論したいなというふうに思っているんです。と申しますのは、以前これは国会でも議論されたんですけれども、朝鮮総連の施設に対する固定資産の減免措置について少し議論させていただきたいと思うんです。

 釈迦に説法ですけれども、東京都が課税して以降、だんだんと自治体が減免措置をなくしていくというような方向性になってきているわけですけれども、昨年の十二月に、熊本市が最高裁に上告した減免措置に対する違法性が最高裁で確定したということなので、これを受けて、その固定資産税の減免措置について総務省さんが各自治体に対してどのような対応をされているのかということについてお聞きしたいと思います。

 ○谷口副大臣 お尋ねの朝鮮総連施設に対する固定資産税の減免措置の取り扱いにつきましては、今先生がおっしゃったように、熊本市におきましては訴訟がございまして、平成十八年二月の高裁判決におきまして、減免対象資産の使用実態やその公益性判断が問題とされたわけであります。このことも踏まえまして、減免対象資産の使用実態を的確に把握した上で、公益性の有無等条例で定める要件に該当するかを厳正に判断するよう通知を発出するなど、注意喚起をいたしておるところでございます。

 ちなみに、熊本市におきましては、本年の二月二十五日にこの減免措置が廃止をされたというような状況になっております。それで、朝鮮総連施設に対する固定資産税の平成十九年度課税状況につきましては、関係する地方団体を対象として調査をいたしましたところ、税額のすべてを減免いたしております団体が四十三団体から二十八団体に減少しているというような状況など、各自治体において見直しが進められているところでございますけれども、総務省におきましても、これから引き続き、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

 ――やはり、資金が北朝鮮に行くというところについてはできる限りしっかりと抑えるということで、総務省としても、残りの二十八団体、ほかにも団体いっぱいあるわけですけれども、引き続き、どういう減免措置がなされているのか、個別的事情も含めてしっかりと調査して、是正していっていただきたいと思います。

 もう一点ですけれども、二〇〇七年、去年の十一月の中日新聞の報道ですが、伊賀市のもとの総務部長さんが逮捕、起訴されたということで新聞記事が載っていたんですけれども、これは一千八百万円資金を着服していましたと。ただ、一千八百万の資金を着服していただけだったら、それは大して大きくはないんですけれども、一千八百万着服していた、その原資となるのはどこかというと、これは、在日韓国人の方から、住民税を半分に抑える、半分に抑える見返りとしておれのところに資金を持ってこいということで、その千八百万の着服が発覚したということなんですね。

 かねてから、民団や総連に対して、団体交渉権、国税庁はこれを認めていない。国会でも議論されていました。国税当局で団体交渉権というのは、これはないんだと。ところが、地方自治体の住民税の話になりますと、課税当局が、実は現場では住民税の減免措置を行っていたという現状があったわけですね。それに対して今総務省さんは……。もう国税庁はないと言って話をしているんですね、国会でも議論をしていましたけれども。では、地方自治体の課税当局の状況はどうなのか、これについてもちょっと状況をお聞かせ願いたいと思います。

 ○高橋政府参考人 お答えいたします。

 個人住民税の減免は、個々の納税者の担税力などについて特別の事情がある場合に限り、各市町村の条例の定めるところによりまして税負担の軽減を図るものでございまして、各市町村は適正かつ公平な運用に努める必要があるものでございます。

 お話にございました、報道されました、三重県内の一部の市における在日韓国及び朝鮮人に係る個人住民税の減免の事例については既にすべて廃止されたというふうに聞いておるところでございます。

 全国的な調査は実施していないところでございまして、承知していないところでございます。

 ――いや、これは全国的にしっかりと調査していただきたい問題だと思っています。

 こういうことが過去行われているのか、そして現状はどうなのか、これは、総務省としてそういう調査をしっかりとしてもらいたいですし、さらにそういう通達も含めて、固定資産の減免については通達を出されたという話は私も聞いたんですけれども、これは地方の課税当局の話ですから、これについても総務省がしっかりと監督、是正してもらわなきゃ困ると思うんですけれども、谷口先生、どうですか。コメントをいただきたいんですけれども、しっかりと。

 ○谷口副大臣 先生のおっしゃるように、実態を調査させていただきたいと思います。

「軽水炉終了後の利子だけで54億円」



△北神圭朗議員(民主党)
 

 ――北朝鮮の、一九九四年のジュネーブの合意された枠組みの中で、日本の国際協力銀行がずっと北朝鮮に融資をしてきた、その問題について質問したいんですが、その前に、先ほど大変有意義な参考人質疑がありまして、ちょっと通告はないんですけれども、非常に大事な質問をしたいと思います。

 重村先生が、日本の政府は拉致問題について、一遍も北朝鮮に、拉致の人たちを返してほしいと言ったことはない、こういう発言をされたんですね。これは皆さんにとっては聞き捨てならない話かもしれませんが、この委員会でそういう発言がありましたので、やはりそこはちゃんとはっきりさせないといけないというふうに思いますので、いかがでしょうか。

 ○高村外務大臣 重村さんとは私は非常に親しい、十年以上前から親しい間柄でありますが、どういう意味でそういうことをおっしゃったのかよくわかりませんが、金正日氏が拉致ということを認めるよりずっと前から、返せということは言っております。日朝協議で拉致の話を出した途端に席を立ってしまう、そういう時代から、ずっと言っているわけであります。

 ――文脈として、おっしゃられたのは、たしか笠井委員が、日本の今の拉致問題に関する外交について改善点があれば教えてほしいと各参考人に聞かれて、そのときにたしか重村先生が、それはやはり、まず返してほしいという意思が北朝鮮に伝わっていないとそもそも話にならない、北朝鮮側は恐らく、そんなに日本は一生懸命返してほしいと言ってきていないというような発言だったんですね。

 彼を批判するつもりは全くございませんけれども、やはりこれは誤解を招くのであれば、本当に大臣がおっしゃるように、そんなことはないというんだったら、誤解を招く話ですから、ぜひそれは重村先生の方にやはり伝えるべきだというふうに思います。

 もう一つ言うならば、彼が言うのは、小泉総理が訪朝されたときも、拉致の人たちを返してほしいということは一切言わなかった、安否確認はしたけれども返してほしいということは一切言わなかったと、そこまでおっしゃったんですよ。

 ○高村外務大臣 どういう意味で、どういう文脈で言ったか、重村氏自身に私が確かめてみます。

 ――ぜひお願いしたいというふうに思います。

 次に、本題に移りたいと思いますが、今、六者会合の方で、先ほども、それこそ参考人質疑で、大きな転換点に差しかかっているかもしれないという話でありました。

 この北朝鮮に対する核問題というのは、拉致問題もそれに密接にかかわってくるわけでありますが、もともと、先ほども申し上げた一九九四年のジュネーブでの合意された枠組みから始まっているというふうに思います。それが、私に言わせれば、外交の失敗があった。これは日本だけじゃなくて、アメリカもそうですし、韓国も私は失敗をしたというふうに思っております。

 御存じのように、合意された枠組みの中で、軽水炉の原発を二基北朝鮮につくる、その支援というものをアメリカと韓国と日本でやろうということが合意されたわけであります。その中で、十年間にわたって、日本の国際協力銀行から、円レートの問題もありますが、全部で大体四百八十億円ぐらいの貸し付けが行われてきた。これは当然、北朝鮮に対する慈善活動でも何でもなくて、核の開発の疑惑があったから、それをやめることと引きかえに、その約束と引きかえに、では日本も支援に応じるということであったというふうに思います。

 ところが、二〇〇五年に、北朝鮮は堂々と核兵器保有宣言をするわけであります。そういったことで、当然ですけれども、その翌年にこの軽水炉の事業というものが廃止になる。それはそれで、北朝鮮が悪いんですから、私はそれでしようがないというふうに思いますが、問題は、その国際協力銀行の貸し付けが残っている、四百八十億円ぐらいだというふうに思います。

 北朝鮮という国は、今までの経緯からいっても、アメリカでもローグ国家、ならず者国家というふうに言われているぐらいで、誠意のかけらも私は感じておりません。そんな国に貸し付けをして、安易に約束をのんでしまったわけでありますが、その四百八十億円貸し付けたお金、これは普通の常識で考えれば回収しなければならない。返してくれと、北朝鮮に、おまえら約束を破ったんだから今まで貸し付けたお金を全部返せと言うのが筋で、一応そういうことも外務省の方でやっているというふうに思いますが、どう考えても返すような国ではないと思います。

 そういう中で、その努力はやられたらいいと思いますが、やはりこれはどう考えても、どんな知恵を絞っても、結局国民の血税で、国際協力銀行の焦げついた四百八十億円ぐらいのお金を肩がわりしないといけない。そういうことを私もたびたび、毎年申し上げたつもりだったんですが、ずっと、いや、もう、引き続き返済を要求していきます、仮の質問にはお答えできませんということだったんです。

 どうも昨年の年末に、恐らく平成十九年度の補正予算に九十億円、国際協力銀行に国民の税金で返すということが決まったわけであります。これについて、大臣、この九十億円を返すということは、北朝鮮に貸し付けた金額というのは全部で大体四百八十億円ぐらいだというふうに理解しているんですが、なぜ九十億円なのかということをまずお聞きしたいと思います。

 ○小野寺副大臣 KEDOへの出資金についてでございますが、このKEDO、一九九四年の米朝間の合意された枠組みの合意を実施するために設立され、北朝鮮との間で、北朝鮮に軽水炉を供給するために協定を締結いたしました。我が国とKEDOとの契約に基づき、JBICがKEDOの軽水炉プロジェクトのために貸し付けを行いましたが、その返済には、軽水炉完成後、北朝鮮からKEDOへの返済を充てることとなっておりました。

 しかし、北朝鮮が二〇〇二年十月にウラン濃縮計画の存在を認めて、その後供給協定違反行為を繰り返したということで、KEDOは、二〇〇六年五月に軽水炉プロジェクトの終了を決定するとともに、北朝鮮への供給協定違反の結果、KEDOは、こうむった損失の支払いを北朝鮮に要求いたしました。しかし、北朝鮮は、現在までこの要求に応じておりません。

 そのような中、KEDOは、二〇〇七年五月、事務局を大幅に縮小し、最も遅くて五年後には閉鎖することを決定しました。したがって、KEDOのJBICに対する債務については五年以内に処理する必要が生じ、JBICはKEDOに対し、五年間での債務の返済を求めました。

 以上の経緯を踏まえまして、政府としては、引き続きKEDOから北朝鮮に対する支払い要求は行いつつも、平成十九年度の補正予算に、貸付残高の五分の一に相当する九十億円をKEDOに対する拠出金として計上し、予算成立後、昨年度末に拠出いたしました。KEDOは、この拠出金の全額を、既にJBICへの債務の一部の返済に用いました。

 ――これは大臣御存じですよね、この話は、今まで。初めてお聞きになりますか。

 ○高村外務大臣 詳しい話は初めてです。

 ただ、JBICの債権の保全について、政府が頼んでやってもらったわけですよね、これは。それについては政府が何かしなきゃいけないということは、このKEDOの枠組みがおかしくなり始めたときから、それはそういうふうには思っていたわけですが、詳しい話については聞いておりませんでした。

 ――今までのこういう日本の外交は、明らかにこれは一九九四年の合意された枠組みについては失敗をしたんだと、それを認めることは大事だ。その結果、日本の国民の血税が五百億円弱ぐらいこのしりぬぐいに使われるんだということをやはり明らかにしないといけないと思うんです。これは何も、何か責任を追及するとかそういう意味じゃなくて、こういうことで、北朝鮮というのはどういう国なのかということをやはり広く認識してもらわないといけないし、これはやはり国民の税金ですから、税金がなぜこういうことに使われるのかということも明らかにしないといけない、そういう意味で取り上げさせていただいているわけでございます。

 これはもうはっきりと、やはりあの外交は失敗をしたと。別に日本だけじゃないですよ、私は、カーター元大統領がちょっと軽率だったというふうに思いますが、それにおつき合いをした日本が、これまで幾多の政権の中で十年間もこの貸し付けをして、核開発をやめさせようと思ったけれども、結局それが、北朝鮮はしゃあしゃあと核兵器を保有していますと宣言までして、それで今まで貸してきたお金について回収もできない、それで国民がそのツケを回された。これはやはり、大臣が、この外交は失敗して、責任を感じているということを言わないといけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 ○小野寺副大臣 先ほど大臣からもお話がありましたが、このJBICのKEDOに対する貸し付けが我が国政府の依頼により実施されたということ、平成十一年四月二十七日の閣議決定におきまして、このJBICのKEDOに対する貸し付けについて、「政府としても、その債権の償還の確保につき万全の措置を講ずる」と表明していることにかんがみ、JBICへの返済を目的にKEDOに拠出するものです。

 今回このようなことが起こりましたが、北朝鮮がKEDOとの間の供給協定に違反し、供給協定に従ってKEDOの金銭的な損失の支払いの義務を負っているということに変わりはなく、我が国政府としては、他のKEDO理事国とも協議しつつ、KEDOとして北朝鮮に対する支払い要求を続けてまいります。

 ――それはつまり、支払い要求をしているから、まだ外交は失敗したかどうかわからぬ、そういう意味ですか。

 私が聞いているのは、これはやはり外交は失敗したと。ある意味ではそうなんですよ。仕切り直して、まさに六者会合というものを設定して、より厳密に、北朝鮮がああいうふうに裏切り行為をしないように何回か段階を設けて、彼らが約束を履行しなければ支援をしないという枠組みをつくったというふうに私は理解をしておりますが、やはりそこは、外交の失敗を国民の血税でツケ回しをしてしまったということを表明しないといけないと思いますが、いかがでしょうか。

 ○高村外務大臣 はっきりしていることは、米朝枠組み合意が、想定されたとおりうまくいかなった、これははっきりしているわけですよね。

 米朝枠組み合意に基づいてKEDOというものが出てきた。アメリカにとって選択肢というのはいろいろあの当時あったわけですよ。何らかの話し合いで決めるか、それとも軍事的手段に訴えるか。あのときあった。そこに対して、あれが失敗だったと断ずるためには、想定どおりうまくいかなかったことは事実なんだけれども、その選択肢の一つの、あのとき韓国やら日本が軍事的行動に訴える方がよかったと言うべきかどうか、そこまで言わないと、あれが失敗だったというふうに断ずることはなかなか難しいわけですよね。

 そして、日本が、仮にそこで軍事的行動に移ることに反対したのは、当時のことを私は詳しく知っているわけじゃないんですが、韓国や日本が軍事的行動に対して非常に消極的であったことは事実だと思うんですね。それで、消極的であって、なおかつその枠組み合意に乗らないという選択肢があり得るのかどうかという話はあるわけですよね。

 だから、想定どおりうまくいかなかったことは、これは間違いない。これはアメリカ自身もそう思っているでしょう。私たちからしても、想定どおりうまくはいかなかった。ただ、それを失敗だと断ずるためには、よりいい選択肢があったということが言えるかどうかという話。

 少なくとも、黒鉛炉は凍結されて、その間にプルトニウムは生産されていなかったわけですよね。どんどん核を開発させるのを野放しにするのか、軍事的にやるのか、それとも何らかの合意をつくってそこでとめるのか、そういう選択肢の中で、想定したようにはうまくいかなかった、これは間違いない。だけれども、ほかのどういう選択肢を、アメリカがどうだったということもあるし、アメリカがそうおっしゃったときに日本が乗らないという選択肢があったかどうかという話もあるわけですね。そういうこともしないで、大失敗だった、単にオール・オア・ナッシング、オンかオフかでこれは失敗だ、こう言えるかどうかということは考えなければいけない話だと思います。

 ――おっしゃるように、想定どおりにはいかなかった、これはもうだれが見てもそのとおりだということであります。目的が核開発をやめさせることだったのに、核兵器を保有したわけですから。それで、今これで、我々もみんな苦労しているわけですから。

 お聞きしたいのは、でも、これは結局、貸し付けたお金が非常に無駄なことに終わってしまって、税金で肩がわりをしている、これは認めますよね。

 ○高村国務大臣 肩がわりという日本語を使いたくない人と、そうだろうなと言う人とはいますけれども、それはそれとして、税金が、想定したとおりいかなかったがゆえに、それが北朝鮮から返済されないで、最終的には日本人の税金で、少なくとも九十億円については今そうなっている。まだ北朝鮮に請求はしますけれども。我々がもうあたかも放棄したごとく言うつもりは全くありません。

 ――次にお聞きしたいのは、これはずっと貸し付けてきて、当然利子というものが発生をする。十年以上貸し付けてきたわけでありますから、利子をやってきた。しかも、軽水炉の原発の事業が廃止になったのがたしか三年前ですから、そこから、事実上北朝鮮から返済を求めないといけないということであります。この利子は、全体としてどのぐらい発生をしたのかお聞きしたいと思います。

 ○小野寺副大臣 JBICのKEDOに対する貸し付けについては、我が国とKEDOとの間の資金供与協定の規定に基づき利子が発生します。この算出方法ですが、貸付実行日の長期プライムレートマイナス〇・二%、または当該日の資金運用部からの借入金の利率のうち、どちらか高い方の金利を適用し、また貸付実行日から十年を経過するごとに同様の方法で調整するということになっております。これまでの利子相当額として五十四億円を拠出いたしました。

 ――要するに、今までの貸し付けの中で、五十四億円利子の分が発生したということですね。これは、この二年間、要するにKEDOの事業がもう事実上終わった、軽水炉事業は終わったと言ってから五十四億円ですか。

 ○小野寺副大臣 全体として五十四億円で、十九年度は八億百五十万円、二十年度は六億六千五百万円の拠出を予定しております。

 ――ですから、この延ばした分、今のお話だったら、大体十五億円ぐらい利子が発生してしまった。早目にこれを予算措置していたら、少なくともその半分ぐらいはもしかしたら軽くなっていた。これもやはり、私は反省をしないといけないというふうに思います。

「経済制裁で中国と韓国から協力を求めよ」



△漆原良夫議員(公明党)
 

 ――福田内閣、発足して六カ月になるわけでありますけれども、まず、福田内閣の拉致問題に対する基本的なスタンスということを再度私はここで確認させていただきたいというふうに思っております。

 第一点は、北朝鮮による日本人の拉致行為、これは国家的テロである、また日本に対する主権の侵犯である、さらにまた個人として見れば、国民として見れば、重大な人権侵害行為であるというふうに私は認識しておりますが、政府の認識はいかがでしょうか。

 ○山本副大臣 漆原委員の質問にお答えさせていただきます。

 政府の基本的な認識はどうかということでありますけれども、今お話がありましたとおりに、この拉致問題というのは、我が日本国家に対する主権の侵害でありますし、我が日本国民の生命と安全に対する重大な侵害でありますので、大変これは我々にとりましては許すことができない問題だというふうに考えております。

 しかも、まさに国家による犯罪行為でありますから、そして重大な人権侵害でもありますので、政府として、福田総理のリーダーシップのもと、今までと同じような形でこの問題にしっかりと全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 ――その認識、私は本当にそのとおりだというふうに思っております。

 それを前提としまして、日朝の国交回復、国交正常化というのは、北東アジアの平和にとっても我が国の平和にとっても大変大きな意味を持っておるというふうに思っております。しかし、今おっしゃった拉致問題を不問にしたまま国交正常化をするということは、とても国民感情として許されないことだというふうに私は思います。従来からの政府の見解でございますが、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はなしというこの原則を福田内閣も維持されるかどうか、お尋ねしたいと思います。

 ○高村外務大臣 当然、維持しております。

 ――それが当然の認識だ、国交正常化は拉致問題解決が大前提だというふうに外務大臣からお答えいただきました。その上で、今までこの拉致問題の解決、我々は対話と圧力という二つのファクターで解決すべきであるというふうに思ってきたし、また、日本政府もそういうふうに取り組んでこられたというふうに思っております。

 安倍内閣はどちらかというと、対話ではだめだな、やはり相当の圧力をかけていかないと対話に結びつかないなということで、安倍内閣時代は重点を対話から圧力の方に置いたんじゃないかなというふうに私は思っておりますが、この点、福田内閣は、対話と圧力、どちらの方に重点を置かれて今後の交渉に臨まんとされているのか、お尋ねをしたいと思います。

 ○山本副大臣 今、対話と圧力というお話がございました。従来からそうでありますけれども、圧力を加えながら対話をすることによって北朝鮮の具体的な対応を引き出す、こうした姿勢で来たところであります。福田内閣におきましても、拉致問題の解決のためにはこの対話と圧力を、双方が両方とも必要でありますけれども、バランスをよくするということが大切であるというふうに考えて、バランスよくやるということが重要だと考えております。

 ――この点は若干、福田内閣は、圧力じゃだめだな、対話を重視しなきゃだめだなというふうな印象で国民に受けとめられている節がありますが、対話と圧力を有効に使っていくんだ、圧力をかけることによって対話を導き出していくんだ、こういう考えでよろしいんでしょうか。もう一度確認します。

 ○高村外務大臣 対話も圧力も拉致問題を解決する手段でありますから、状況状況において、今は圧力をかけるべきだ、あるいは今は対話をすべきだ、あるいは両方だ、そのときそのときによって違うんだと思うんですね。例えば、ブッシュ大統領が悪の枢軸だなどと言って、ある意味で北朝鮮が恐れおののいているときにはどういうやり方がきくかということと、今ヒル次官補が行って対話の方向に行っているときに日本はどういうふうにやった方がこれがきくかとか、状況状況だと思います。あくまで拉致問題を解決する目的に向かって、今の状況でどちらがどういうふうにきくのか、そういうところでバランスをとっていくということだと考えております。

 ――わたくしもそのとおりだと思っております。そこで、福田内閣発足以来六カ月になるわけでありますけれども、いろいろな取り組みを、例えば拉致被害者の皆さんに総理がお会いになって本当に温かい言葉をかけていただいた、喜んでおるところでございますけれども、この六カ月の間、この解決に向かって福田内閣はどのような取り組みをされてきたのか、そしてまたどのような成果をおさめられたのか、一応、半年の総括をお願いしたいというふうに思います。

 ○山本副大臣 福田総理、九月の就任以来、各国の首脳会議等も何回か出席をさせていただいておりますけれども、その折にも、各国首脳の皆様方に日本の今の拉致問題に対する立場をしっかりと説明させていただきまして、そうした結果、拉致問題に対する国際社会の理解と支持が得られた。これはやはり、その機会ごとに総理が説明しておられますので大変な理解が得られた、そのように判断をしております。こうしたことが成果だというふうに思います。

 そして、個々の問題につきましては、例えば拉致被害者御本人を励ます、そうしたことを目的に、北朝鮮に届くということで、「ふるさとの風」という北朝鮮向けラジオ放送、これは毎日今放送させていただいております。これが届くことによって拉致被害者御本人が勇気づけられればという形でやらせていただいております。それとか、シンポジウムのようなものも開催させていただいておりますし、映画も、「アブダクション」という映画ができたわけですけれども、この上映権を買い上げまして学校で放映したりしております。さらに、アニメの「めぐみ」を制作いたしまして、そうしたことで、いろいろな広報活動をさせていただいております。

 政府といたしましては、福田総理の強いリーダーシップのもと、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現すべく、政府一体となって引き続き最大の努力をさせていただきたいと思っておるところであります。

 ――韓国内でもたくさんの、何百人という人が拉致をされているというふうに私はお伺いをしております。しかし、今までの大統領は、自国の拉致問題に対して必ずしも積極的ではなかった。韓国の拉致問題、拉致被害者の方が日本の拉致の大会に来られまして、その辺の窮状も訴えておられました。むしろ、日本から韓国に向かって圧力をかけていただけないかというふうな話も伺ったところであります。李明博新大統領は、自国の拉致に対する取り扱いはどのようにお考えになっておるのか、その辺は御存じなんでしょうか。

 ○齋木政府参考人 委員が今御指摘になりましたように、李明博大統領は、人権問題を大変に重視する立場から、いわゆる拉北者問題、北朝鮮によって拉致された韓国国民の奪還というか返還に向けて、大変に強い立場を実は表明しております。今、南北の対話が、新しい政権になってから、北朝鮮側からのいろいろな動きによって中断しておる状況ではございますけれども、韓国の新政権は、人権問題としての切り口から、日本の拉致問題とは十分に連携を密にしながら臨んでいきたい、こういう立場を表明しております。

 今後、日韓の間、またアメリカも含めて、日米韓で、人権問題という側面からも、拉致問題、拉北問題についてはきちんと対応していく、今、そういう観点で三カ国の間での連携を密にしていく、こういう方針でございます。

 ――その韓国、李明博新大統領が四月の二十日に訪日される、さらには、五月には中国の胡錦濤国家主席が訪日されるというふうに聞いておりますが、日本として、拉致問題の解決にやはり中国の協力が絶対に必要だと思うんですね。韓国も同じです。経済制裁、船舶の入港禁止措置をとっても、あるいは物資の輸入禁止の措置をとっても、これは、北朝鮮に隣接する韓国と中国が日本と同じように協力をしてくれなければ、ある意味では有名無実になってしまうという危険性があるというふうに思っております。

 そういう意味で、この四月、五月、両国の首脳が来られるに際して、一緒に協力しようと言うだけではなくて、日本政府は、李明博大統領及び胡錦濤国家主席に対して、拉致問題解決に向けての具体的な提案を用意されているのかどうか。用意されていれば、その内容を、許せる範囲でお聞かせ願いたい、こう思います。

 ○高村外務大臣 李明博政権は、拉致問題を含む北朝鮮の人権問題を極めて重視しているわけで、私も、先般の日韓外相会談におきまして、拉致問題を含む北朝鮮問題について、柳明桓長官との間でよい議論を行うことができた、こういうふうに思っております。私から、拉致問題を含む人道問題についても日韓間で一層緊密に連携していきたいと述べたのに対して、柳長官から、日本の立場に対する理解と支持が表明され、拉致問題については韓国政府としてもできるだけの協力をしていきたい旨の発言がありました。

 現時点で首脳会談の内容を予断することはちょっと差し控えたいと思いますが、日韓外相会談のやりとりも踏まえ、来る日韓首脳会談において、拉致問題を含む北朝鮮問題について有意義な議論を行っていただくようにしたいと思います。現時点で申し上げられるような具体的な提案というのはまだちょっとありませんが、有意義な議論を行っていただきたいと思っております。

 それから、中国の方でありますが、六者会合の議長国である中国にとって、北朝鮮問題が大きな関心事項であることは言うまでもなく、我が国は、さまざまな機会をとらえて、中国との連携を確認してきているわけであります。北朝鮮問題につきましても日中両国が協力を進めることによって、日中間の戦略的互恵関係の構築に向けた協力が強化される面もあると考えているわけであります。

 昨年十二月に福田総理が訪中された際には、総理より温家宝総理に対して、拉致問題を含む日朝関係に関する日本の方針を説明し、六者会合プロセスが全体としてバランスよく前進するよう努力することなどを述べ、温家宝総理よりは、拉致問題に関する日本の関心を理解する、日朝関係の改善を強く支持する旨の発言がありました。

 政府としては、六者会合共同声明を完全に実施するために、朝鮮半島の非核化と拉致問題を含む日朝関係の双方がともに前進するように、今後の首脳会談等さまざまな機会をとらえて、中国を含む関係国と連携しつつ、最大限努力を行っていく考えであります。

 現時点で、委員がおっしゃった具体的な提案というところまで行っておりませんが、いい連携関係を韓国とも中国ともつくっていきたい、こういうふうに思っております。

「遺骨のDNA鑑定結果を公表したらどうか」



△山本ともひろ議員(自民党)


 ――私は、まず最初に外務大臣にお伺いをしたいんですが、この四月の十三日に対北朝鮮の措置が期限を迎えます。報道機関等々では、あす、何かしらの閣議決定をなされるというふうに報道されております。

 およそ、今現在、北朝鮮に対していわゆる制裁措置を解くような現状ではないと私は思っておりますし、ぜひ延長をしていただきたいと思っておりますので、外務大臣としての御決意をお聞かせください。

 ○高村外務大臣 北朝鮮が六者会合で二〇〇七年末までの実施を約束したすべての核計画の完全かつ正確な申告をいまだ実施していない、また、拉致問題についても具体的な対応をとっていない。北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案すれば、これらの措置を継続すべきという方向で政府内部で検討中でございます。あした決めます。

 ――今外務大臣が御答弁されたとおり、昨年末までに北朝鮮のいわゆる核計画の全容を完全かつ正確に申告するという約束がまだ果たされておりません。果たされておらずに、もう既に三カ月以上もたっています。そしてまた、拉致の問題も、北朝鮮に言わせれば、既に解決済みだというような強弁をしております。そういう環境下では、このいわゆる制裁措置を解くというような事態ではないと私もかたく信じておりますので、ぜひ外務大臣としても、閣議決定の際には、延長をということでお願いをしたいと思います。そして、このいわゆる制裁措置というものですが、私は、正直、現状としては足りないのじゃないのかなと。

 いわゆる船舶も入港禁止、北朝鮮籍船はすべて今は入港禁止ということになっておりますが、では、北朝鮮が他の国の船舶を借りて日本に入ってくることはどうなんだ。あるいは、北朝鮮からの輸出は我々はもう受け入れないということになっておりますが、別に情報機関の人でもないようないわゆる一般の国民でも、いや、実は北朝鮮からシジミが韓国に行って、そこから袋を詰めかえて日本に持ってきているよというような声も聞こえてきます。あるいは、資金、お金も、これはミサイルですとか大量破壊兵器の拡散にかかわるようなことに対しては、日本からその資金を北朝鮮に送金はしてはいけないという防止の措置がなされていますが、一般の人であれば、北朝鮮に、上限がなく幾らでも送金ができるという今のこの現状、これでは北朝鮮に対して不十分ではないかな。今の措置を厳格にするということプラス追加制裁があってもいいのではないのかなと私は思いますが、大臣、いかがお考えですか。

 ○高村外務大臣 我が国がこれまで実施してきている対北朝鮮措置につきましては、北朝鮮経済に一定の効果を及ぼしているものと考えております。また、その政治的意義に着目すれば、我が国が六カ月ごとに北朝鮮籍船の入港禁止措置及び北朝鮮からの輸入禁止措置を延長していることは、北朝鮮に対し諸懸案の解決に向けた具体的な行動を求める我が国の立場を明確にする効果がそれなりにあると考えているわけであります。

 ――米国政府が北朝鮮のテロ支援国家というものを解除するのではないかというような報道が多々出ておりますし、私も見聞きしております。それは米国政府の判断でしょうから、日本政府として実際どれだけ関与ができるのかというと難しいところはあると思いますが、やはり、米国政府に対しても、引き続き日本政府として、北朝鮮はけしからぬ国なんだ、国家として拉致を認めたような国なんだ、そういう、テロ支援といいますか、テロを行っている国でありますから、そのテロ支援国家というものを引き続き継続して米国政府も定義づけていくべきだし、また、仮の話は答えにくいのかもしれませんが、仮にアメリカ政府がそういったものを解除したとしても、それはアメリカ政府の話であって、日本政府としては断固たる立場で、相変わらずあれはけしからぬ国なんだというような立場を貫いていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

 ○高村外務大臣 米国は、拉致問題に関する我が国の立場をよく理解していると思います、辟易するほど言っていますから。これまでも、あらゆる機会をとらえ、北朝鮮に拉致問題の解決に向けた具体的行動を働きかけるなど、アメリカは、日本に対して協力をしてきてくれているわけであります。二月末に来日したライス長官は、拉致問題が引き続き米国の非常に高い優先事項であることを保証し、拉致問題は米国にとっても重要な問題である旨を確認しました。米国は、テロ支援国家指定解除の問題については日本側と十分に協議するとの立場であり、この問題を含め、引き続き緊密に連携していく考えであります。

 テロ支援国家指定を解除するかどうかというのは、これは最終的にはアメリカがアメリカ法の解釈として決めることであります。ただ、日本が日本としてこのことをどう考えるかというのは日本の判断でする、これは当然のことでございます。

――めぐみさんのいわゆる遺骨と言われているもの、これは北朝鮮が出してまいりました。この遺骨のDNA鑑定を日本で行った。警察でも行い、帝京大学でも行い、警察では、科警研ではDNAの鑑定ができなかった、帝京大学ではできた。これが、なぜ警察の科警研でできなかったようなことが帝京大学でできたのか。恐らく分析の方法が違ったのでありましょう。しかし、警察でできないものを大学の一先生が行ったのかなという、多少なりとも疑問もわいてきます。

 その疑問を解消するためには、きちっと、DNAがどういった結果だったのかというものも、私はしっかりと公表した方がいいのではないのかなと思いますが、このあたりいかがでしょうか。

 ○池田政府参考人 第三回の日朝実務者協議におきまして北朝鮮側から横田めぐみさんの遺骨であるとして提供されたものにつきましては、新潟県警察から、事案の重大性にかんがみまして、警察庁の科学警察研究所のほかに、帝京大学に同時に鑑定を嘱託したところでございます。

 具体的には、提供された遺骨につきまして、その中から、DNA鑑定に知見を有する専門の方が、これならDNAを検出できるのではないかという可能性のある骨片、これを十個選んでおります。大きさとか、高温にさらされていないとか、そういう観点から十個選定いたしまして、五個ずつ、片方を科警研、片方を帝京大学、こういうふうに鑑定嘱託をしたところでございます。

 それで、両機関でそれぞれの方法で鑑定をしたところ、科警研ではDNAは検出できずに帝京大学ではできた、こういうことでございますけれども、これは両方の機関が、それぞれの役目が若干違うということで、ふだん行っている鑑定方法も少し異なっております。

 科警研の方は、いわば生の犯罪を扱うということもありまして、比較的すぐに、簡単に検出できるようなPCR法という法をとっておりまして、帝京大学の吉井先生は、例えばシベリア抑留者の遺骨鑑定などをされているということで、非常に古い骨などからもDNAを検出するというネステッドPCR法という法をとっておりまして、それもあって両者の鑑定が分かれたのかなということも考えられるというふうに思います。それから、鑑定結果の公表でございますが、御指摘の鑑定結果につきましては、当時の村田国家公安委員会委員長から国会両院の北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会において報告をさせていただいているところでございます。また、内閣官房にも報告いたしまして、当時、官房長官から記者発表されたというふうに承知しております。

 ――そのDNAの鑑定を報告されたというのは、いわゆる完全な形で報告されたものではなくて、ある程度粗削りなものだと伺っております。正確なものをすべてなぜ出さないのかなという素朴な疑問がありますし、この今おっしゃった帝京大学の吉井先生というのは、とある雑誌の中で、実は、そういう熱処理されたような遺骨を以前自分は鑑定した経験はない、今回の鑑定も確定的なものではないというような、インタビューにお答えになられているようです。

 マスコミの方々が接触をしようと思ったけれども、結局接触し切れずに、帝京大学をもう退職されて、今は警察の方にお勤めだと聞いておりますが、私は横田めぐみさんが生存されていると強く信じております。おりますから、ゆえに、別の遺骨であったのであれば、それはけしからぬことでもありますし、北朝鮮がそういうものを提供したということはけしからぬことでありますし、その事実関係をきちっと明白にするということも、やはり日本という交渉者の立場としても私は必要ではないのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

 ○池田政府参考人 本件に関する鑑定書につきましては、これは、新潟県警の方が、現在捜査中の拉致事件の捜査の一環として作成したものでございます。

 刑事訴訟法の四十七条で、公判の開廷前に訴訟に関する書類はこれを公にしてはならないという規定がございまして、もちろんこれは、一部相当と認められる場合にはこの限りではないというふうには書いておるのですが、そういう制約を踏まえて、本件の鑑定結果も、高い公益性にかんがみて、御家族において本件を積極的に公表されるという御意向もあったところから、関係省庁とも協議の上、鑑定結果についてのみ公表したものでございます。

 それから、ネイチャーの関係でございますけれども、この吉井先生の研究基準、これにつきましては国内最高水準であるというふうに認識しておりまして、信頼性も極めて高いと考えております。

 御指摘の件につきましては、当方でも取材を受けた方に直接事実関係を確認したところ、取材におきましては、焼かれた骨によるDNA鑑定の困難性についての一般論を述べたにすぎない、当該鑑定結果が確定的でない旨の発言はしていないということでございます。それから、検体が汚染された可能性につきましても、DNA鑑定についての一般論を述べたにすぎない、こういうことでございます。

 先ほども申し上げましたように、遺骨収集に係る事業など、劣化した検体からDNA鑑定、検出を行うこと、これにつきましては非常に多くの実績を有しておられる方でございますので、鑑定結果について信頼性は高いものというふうに考えております。

 ――そういうことであれば私も信じたいですし、そもそも、横田めぐみさんが生きておられる、そういうふうに私も思っております。法的な問題もあってなかなかすべてのことは公表できない、そういうことであって、また、その吉井先生は大変第一人者だから大丈夫だろうということなんだと思いますけれども。

 私が聞いた限りの範囲では、北朝鮮も相当、日本政府があれはにせものだと言った際に、いやいや、実は我々はきちっと本物を出しているんだ、信用してくれということを再三アメリカ政府に言ったと。その際、アメリカ政府も、北朝鮮が余りにも熱心に言ってくるものですから、ヒル国務次官補が、アメリカの政府機関でもDNAの鑑定はできるからやってもいいですよというようなことを日本側にも言ったというふうに私聞いておるのですが、このあたりは、きょうは齋木局長いらっしゃっておりますけれども、いかがでしょうか。仮にアメリカ側からそういう提案があったとすれば、なぜそれを受け入れなかったのか。いかがでしょうか。

 ○齋木政府参考人 お答えいたします。

 私が承知する限り、アメリカ側からそのような話は一切来ておりません。ヒル国務次官補がそういうことを日本側に対して申し出てきたこともございません。

「総連中央本部売却問題で朝鮮総連は被害者なのか」



△高山智司議員(民主党)


 ――北朝鮮への制裁について伺います。特に金融の制裁について伺いたいと思うんですけれども、金融制裁で、私が財務省の方に聞きましたら、十五法人一個人を指定して、その口座をというような話を聞いたんですけれども、実際、それ以外の日本から北朝鮮に対する送金だとか、あるいは何か北朝鮮の政府関係と思わしいような、そういう口座へのお金の出入りというのは、金融庁としてはどういうふうに今処理をしているのか、あるいは金融機関に対して指示を出しているのか、金融庁、お願いします。

 ○河野政府参考人 お答え申し上げます。北朝鮮の関係でございますけれども、これに関しましては、平成十八年九月に、安保理決議及びそれを受けました閣議了解がございましたときに、改めまして、外為法上の規制対象となりました団体等に関連する取引につきましては、疑わしい取引の届け出の徹底を要請するといったことを行っておりまして、金融機関におきましても、こういった監督指針あるいはこういった私どもからの要請を踏まえて、北朝鮮に関連する取引につきましては、外為法上指定された者への支払いや資本取引でないかどうか、あるいはその制裁対象となっている貿易取引ではないかといった確認に加えまして、さらに顧客属性やその取引態様などに十分注意を払っているものと考えております。

 ――今の金融庁の答弁にもありましたけれども、国連決議があって指定している部分があって、具体的な個名を挙げてやっている、それはわかります。それ以外の取引、送金であるとかこういうのにどういう規制をかけていますかという質問を私はしたんです。そうしたら、それは疑わしい取引の中でという話だったんですけれども、総合的に勘案と言いますけれども、金融庁として、いわゆる北朝鮮関係の、日本から北朝鮮に送金するものはこうだとか、あるいは、向こうからのがこうであるとか、あるいは、こういう名称の会社だとか個人だとか、あるいは、北朝鮮関連には特別こうしなさいという何か指示をしているかどうかというところを聞きたいわけです。

 ほかの疑わしい取引とはまた別に、政府として、この北朝鮮関連だけは特にこういうふうにやってもらいたいということを金融庁から金融機関にどういう指示を出されているか、そこを教えてください。

 ○河野政府参考人 私どもから、外為法上指定されていない者について名前を特定したり、あるいは特にこういう取引というようなことを指定することはしておりません。これはやはり法的根拠に基づいて行う必要がございますので、あくまでこれは一般的な制度の中で、疑わしい取引の届け出の中では北朝鮮に関連するものは十分注意しているものとは思いますし、また、私どもとしてはその範囲で指導しているところでございます。

 ――例えば北朝鮮関連の日本の中の施設で朝鮮総連というのがあって、それ関連のいろいろな施設がある。その中で、特にいろいろな地方本部なんかがもう既に競売にかけられて売却済みのものもあるんです。

 これは法務省に伺いたいんですけれども、またその後金融庁にも聞きますけれども、つまり、競売をして、その買い受けた人が、これは私の方で調べまして、裁判所の競売の手続ですので、だれがいつ買いましたというのが全部出てくるんですけれども、これは本当に具体的な個人の、会社の名前が出ているので、あえて配りませんでしたけれども、そういうのがあります。

 こういうのに関して、実際、ある意味、債務者と事実上同一の人が買い受けてしまっているというおそれも当然ありましょうし、また、これは法務省、特に公安調査庁に伺いたいんですけれども、買い受けた企業がどういう属性を持っている企業あるいは個人だということは調査されておりますか、あるいは把握しているかどうか。そこについて、まず金融庁、その後法務省の順番でお答えください。

 ○河野政府参考人 個別の入札等の情報につきましては、従来から、円滑な債権の回収等の観点からコメントを差し控えさせていただいております。

 このケースにつきましても、あくまで一般論ということになりますけれども、私どもといたしましては、これは整理回収機構においてということになりますけれども、その競売手続において民事執行法の規定に基づき厳正に対応しておりまして、その際に裁判所の御判断をいただいているものというふうに承知しております。

 ――実際に債務者と同一かどうかというのをきちんとチェックされているかどうか。それはどういうことかというと、朝鮮総連という名前でお金を借りて、朝鮮総連という名前で建物を所有してというのじゃないでしょう、今、現状。いろいろな名義で借りたりして、RCCや金融庁の方でも債務名義をとったりするのに随分御苦労されていると思うんですけれども、実際、競売して、またその関連企業が買ったりなんということになりますと、債務者と同一の人が買っていることになるわけですから、そういうチェックをどのようにやられていますか、また今までの事例ではどうでしたかということを、まず金融庁に伺います。

 ○河野政府参考人 実際に裁判所の方で競売の許可をいただくという場合には、当然これは法令に適合した許可であるということが前提でございますので、整理回収機構といたしましても、みずからの判断でどうこうということではございませんで、手続の中で適法に進めさせていただくということです。もちろん、整理回収機構の立場といたしましては、できる限り財産を確認し、回収できるところから最大限回収するということは当然の方針でございますので、この点に揺らぎはございませんけれども、最後の競売に関する判断につきましては、これは裁判所の御判断をいただいているということかと存じます。

 ――法務省に伺いますけれども、各地方の総連本部というのですか、地方本部、これも今までにも七、八件の売却があったわけですけれども、それぞれ買い受け人がいるわけですね。これは公表情報ですから、こういう人たちがどういう属性を持っているのか、もっとありていに言えば、買った人の中にひょっとすると北朝鮮関連の人がいたかとか、あるいは全然、むしろ債務者と同一のような人物で、ほとんど執行をかけた意味がなかったとかいうことになると困るので、また、どのように買い受け人たちの属性を調べているか、どういう把握をしているか、お答えください。

 ○北田政府参考人 お答え申し上げます。朝鮮総連の動向につきましては、公安調査庁といたしましては、重大な関心を持ってかねてから調査してきたところでございます。

 各地方組織の建物の競売状況の点でございますが、この点につきましても、当庁といたしましては、朝鮮総連に対する調査の一環として関心を持って調べてきておるところでございます。その結果としまして、これまで当庁把握分といたしまして、十数カ所のそういった地方組織の施設が競売に付されているということは把握し、また、どういう人物がそれを競落したかということも把握しているところでございます。その具体的な把握の方法でありますとか、そして把握できた内容、これにつきましては、当庁の調査の方法や内容にかかわることでございますので答弁は差し控えさせていただきたい、このように思います。

 ――公安調査庁にさらに伺いますけれども、調査の方法は、それは公安調査庁の手法を明かせということになりますから、そこは聞きません。ただ、競落した、つまり買い受けた人がどういう属性を持っているのか、もっと、ありていに言えば、実際、皆さんが、公安調査庁が監視をしている朝鮮総連関係の人が結果としては全部買い受けていて、余り現状は変わっていないということなのかどうなのか、そこを、結果を教えてください。

 ○北田政府参考人 朝鮮総連に対する調査の一環としまして、地方組織の物権の競落人の属性、こういったことも当然関心事項でございまして、当庁としてもそれなりに把握しているところでございますけれども、具体的なものについてはお答えを差し控えさせていただきたい、このように思います。

 ――何か公安調査庁は歯切れが悪いなという部分は、私は去年の六月ぐらいからずっと思っているんです。

 この件に関しまして本題に入りますけれども、去年の六月に朝鮮総連の本部が競売手続にかかった、それで、そのかかったときに、何と、公安調査庁の元長官をされていた弁護士の先生が朝鮮総連と、初めは共謀してといいますか、強制執行逃れの手伝いをしたんだというようなことで、本当にびっくりした事件で、これは私も法務委員会などで質問もさせていただいたんです。

 ところが、私、二重にびっくりしたんですけれども、朝鮮総連がRCCに対して負っている六百二十億近い債務、それの執行として、朝鮮総連本部を執行にかけようとしたら、執行逃れでハーベスト何とかという投資顧問会社に登記が移されていた、そこの社長は、緒方さんという公安調査庁の元長官の方が社長をやっていて、しかも、どうも事前にいろいろな相談をしたり、総連側から何か四億のお金が出ているだとか、いろいろその後も記事が出てまいりました。

 この件に関しては官房長官にも私伺いたいと思っているんですけれども、まず公安調査庁に伺いたいと思うんです。調査対象ですというふうに先ほども言っていたこの北朝鮮の総連本部、そこに公安調査庁の元長官の方が、何か同じような、執行逃れの手伝いというかつき合いが出るという、ミイラ取りがミイラのような状態にこれはなっているなと世間は思ったと思うんですけれども、その後、公安調査庁の中でどのようにこれは改善措置をとられましたか。

 ○北田政府参考人 お尋ねの点につきましてお答え申し上げたいと思います。朝鮮総連本部の中央会館の土地建物の売買に元公安調査庁長官が関与されていたという点につきましては、既に退職された個人の行為とはいえ、そういう枢要な職にあった方が、対象団体の総連との間で、そういう不信、疑念を抱かれかねない取引に関与したということ、これは、公安調査庁に対する信用そしてまた信頼を損ないかねない事態であると重く受けとめてきたところでございます。まことに遺憾なものと考えておるところでございます。

 この件につきましては、先生御案内のとおり、昨年六月十二日にまずマスコミで大きく報道されまして、その後、六月十七日におきましては、公安調査庁の現職の職員が公安元長官に、その取引を仲介した者を紹介したのではないか、こういうような記事も出た経緯がございます。

 こういうことから、当庁といたしましては、内部的な調査を行いまして、いろいろ調べたところでございます。その結果、当庁といたしましては、この取引には現職の職員は全くかかわっていなかったということを把握、確認したところでございます。また、本件取引につきましては、緒方元長官が長官として在職されていた当時の職務とは全く関係がない、かかわりがないというふうに私どもは把握したところでございます。

 その後、こういった調査結果も踏まえまして、公安調査庁におきましては、長官以下の幹部が全国の公安調査局を回りまして、各職員に対しまして直接、公安庁に課せられました職責をよく自覚して、在職中はもとよりその職を離れた後においても、いやしくも当庁に対する信頼を損なうような事態を招かないよう身を持していくことが肝要である、こういったことの周知徹底を図ったところでございます。

 ――河井副大臣、もう一つ驚くことがあるんですよ。新聞報道によれば、総連本部の競売逃れのために、朝鮮総連側と緒方元長官、共謀して登記を移したような感じでずっと来たんですけれども、いざ起訴されてみると、朝鮮総連は起訴されていないんですね。しかも、朝鮮総連が被害者になっているんですよ、いつの間にか。ちょっとこの起訴に関して伺いたいんですけれども、まず河井副大臣に、政治家としてちょっと伺いたいんですが、本当に朝鮮総連が被害者だというふうに言えるのかどうか。

 私は、いかにも法務省あるいは公安調査庁全体が、身内の不祥事を隠ぺいするためにとにかく早く事件を終わらせなきゃという印象で、慌てて緒方さんだけを悪者にして終わっているという印象を持ったんですけれども、実際、河井副大臣はどういう印象を持たれましたか。

 ○河井副大臣 法務副大臣としてのお尋ねでございますので、申しわけございませんが、御指摘の事件につきましては、現在、東京地方検察庁において詐欺の公訴事実により公訴提起し、東京地方裁判所において公判係属中でありますので、私の意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 ――読売新聞七月十五日というものなんですけれども、緒方容疑者の訴追を求めずと。朝鮮総連の方が、だまされた認識はないですということを、記者会見まで開いて、しかも確認書というのまで出しているんですね。被害者じゃないんですよ。だから、どうして緒方さんが詐欺の加害者になっているのか。私は、緒方さんを助けろと言っているのではなくて、本来加害者的な地位にいる朝鮮総連を何か被害者のように法務省の中では扱い、また朝鮮総連本人は、私は被害者じゃないと言っているという非常に不思議な事案なので、これは官房長官に事案の印象を伺いたいと思うんです。

 官房長官に伺います。町村官房長官としても、非常に不可解だな、なぜ北朝鮮が加害者じゃないんだろう、そういう印象をお持ちになったかどうかを教えてください。

○町村官房長官 私も、この件はこうした新聞報道等でおおよそのことは知っているつもりでございますが、今改めてこうやって見ると、今委員が言われたような、まさに不可思議な、加害者と被害者が一体どういう関係に立っているのかというような印象を持つのが多分普通なんだろう、こう思います。ただ、事案は事案として、今、河井副大臣が述べられたように、現在公判中ということでございますから、それ以上のことを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、非常に不思議な事件の推移だなという印象は持っております。

「制裁措置の延長は核問題解決の障害になってはならない」



△笠井亮議員(共産党)


 ――昨年十月の六カ国協議の成果文書は、北朝鮮の核施設の無能力化や核計画の完全申告とともに、日朝の国交正常化に向けて、両者間の精力的な協議を通じて具体的な行動を実施していくことが約束をされました。しかし、日朝間の協議というのは、それ以降残念ながら開かれていない。精力的な協議で合意されたにもかかわらず協議が行われなくなった。この理由については何なんでしょうか。局長、いかがですか。

 ○齋木政府参考人 委員が今お述べになりましたとおり、昨年十月の六者会合の合意文書、成果文書におきましては、その中の一項に、日朝双方が、平壌宣言に従って早期に国交を正常化するために誠実に努力すること、また、精力的な協議を通じて具体的な行動を実施していくことが明記されておるわけでございます。

 このことも踏まえまして、日本側は北朝鮮との間で真剣な交渉を行う用意があるということを明確にしてきております。累次、私どもの方からは、北朝鮮側に対して、交渉を行うべきであるということで呼びかけてきておりますが、遺憾ながら、これまでのところ、北朝鮮側からは前向きな対応が得られておらず、日朝の正常化、いわゆる作業部会という形での協議の場というのは、昨年の九月のモンゴルのウランバートルにおける協議以降開催されておらないわけでございます。

 恐らく、これは推測でございますけれども、北朝鮮側は、まずは米朝間で精力的に交渉を進めていって、その間日朝についてはやらないということで、いわば日米の間にくさびを打ち込む、日朝はやらないことによって、日本が全体から取り残されるのではないかという気持ちを持つことをあるいは期待して、くさびを打ち込んでいる、そういうつもりなのかもしれませんけれども、このような、北朝鮮側のねらいがもしそうであるとすれば、それは全く的を外れた作戦であろうと思っております。

 いずれにしましても、六者協議全体の中で、米朝はもちろんやらなきゃいけないし、また日朝もやらなきゃいけないわけでございますから、日朝、米朝も含めてすべてが交渉がきちんと進み、妥結していくことがあって、初めて六者協議の出口というところに達することができるということは、これは六カ国すべてが認識しているはずでございます。したがって、我々は、北朝鮮側に対して、早く日朝が交渉の場に着くべきであるということを引き続き呼びかけていく所存でございます。

 ――昨年九月の六者協議、六カ国協議の時点までは、日朝の間では協議が合意されていた。にもかかわらず、それ以降どうして開かれなくなったのかというのはあると思うんですが、やはり、今局長が言ったような理由だというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

 ○齋木政府参考人 何ゆえに日朝協議が去年の九月以降開かれていないかというその理由につきましては、先ほど私は、推測としてそういうこともあるのかなということを述べたわけでございますが、北朝鮮側からは、特段、なぜ日朝協議をやらないかということについての理由の説明はございません。我々は、早くやろうということは繰り返し呼びかけているわけでございます。

 ――拉致問題と核問題との関係でいいますと、やはり日朝平壌宣言は本当に大事なものがあるわけですが、この精神に立って諸問題の包括的解決を図る立場が重要だというふうに思います。

 現在進行中のプロセスで、核問題で道理ある解決、これが図られるならば、拉致問題にとっても早期解決の新しい条件が開かれてくる。要するに、核問題での道理ある解決が図られるなら、拉致問題についても早期解決の新しい条件が開かれることになるというふうに考えるんですが、その点はどういうふうに大臣は考えていらっしゃるでしょうか。

 ○高村外務大臣 政府としては、引き続き、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を早期に実現するとの方針であり、六者会合共同声明を全体としてバランスよく実施するために、朝鮮半島の非核化と拉致問題双方を含む日朝関係がともに前進するように最大限努力を行っていく考えであります。

 一方が進んでしまうのを邪魔するつもりは毛頭ありません。遅れないように一緒に行こう、そういうふうに思っているところでございます。

 ――町村官房長官に伺いますが、政府が一昨年十月にとった、すべての北朝鮮籍船舶の入港禁止と北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止という二つの制裁措置でありますけれども、これは北朝鮮の核実験実施の発表を受けて講じられたものだったと思うんですけれども、その点はそういうことでよろしいですね。

 ○町村官房長官 二年前の十月に、当時の塩崎官房長官が声明を出しております。核実験そして北朝鮮のミサイル開発、あわせて、北朝鮮が拉致問題に対しても何ら誠意ある対応を見せていないこと等の諸般の情勢を総合的に勘案して、我が国として以下のような厳格な措置をとることを決定したということでございまして、核問題だけではないということでございます。

 ――核実験という事態を受けてやったということは間違いないと思うんですが、長官は今、拉致問題も含めて総合的に勘案したというふうに言われましたが、二〇〇六年の十月にとった二つの制裁措置というのは、そういう意味では、北朝鮮による核実験を契機にとられたものである、そして、核実験という新たな重大事態に際して、北朝鮮を対話の道に復帰させて、核兵器問題での外交的解決を図るための手段だったというふうに思います。

 そこで、官房長官に伺いますが、核問題をめぐって情勢が、一定のという話もありましたが、前向きに進展しつつある中で、これらの制裁措置を延長するということが、日本が核問題の解決で積極的な役割を発揮する上で障害になってはならないと思うんですが、そのことについては、長官、どういうふうにお考えになるでしょうか。

 ○町村官房長官 四月十三日に、この制裁、半年ごとにレビューをするということになっております。これはあすの閣議決定の事項でございますが、政府としては、拉致、核、ミサイル、残念ながらいずれも具体的な前進がないという状況のもとでございますので、私どもとしては、この制裁についての措置の延長というものは明日正式に閣議で決定する必要があるものだ、こう思っております。そして、この制裁措置が、今委員が言われたような、日本が核問題の解決に向けての積極的な役割を果たす上で障害になるのではないかという御指摘でございましたが、私どもは決してそのようには考えておりません。

 ――なるのではないかというか、なってはならないということだったんですが、それはそういうことですね、やっぱり。それはもう当たり前ですね。

 ○町村官房長官 現実に前進がないわけでございますから。前進があれば、それはよく内容を精査しなければなりませんが、その場合の制裁の、一部か全部か知りません、全員の人質、拉致された方々が帰ってくる、すっかり核のない北朝鮮になるということになれば、それは制裁を全面解除ということもあるかもしれません。そこは、まさに北朝鮮の対応を見ながら私どもとしては判断をしていかなければいけないと思います。◆