2008年7月4日(金)

再調査の4つの難問

 先の日朝協議では再調査で合意しているが、再調査にあたっての難問が4点ある。

 一つは、いつまで実施するか、再調査のタイムリミットの問題だ。

 高村正彦外相は「早い方がいい。表のものになるか裏のものになるかは別として、早く調査してもらわなければいけない」と述べているようにテロ支援国指定の解除が発効する8月11日までを期限に設定している。ところが、8月11日まで再調査に入れという意味か、結果を出せという意味かいま一つ定かではない。再調査の結果発表が8月11日以後だと、結果を待たずして、テロ支援国指定は自動解除されることになる。

 次に、日本の一部制裁の解除のタイミングだ。

 北朝鮮の再調査開始と同時にやるのか、調査結果をみてからやるのかこれまた曖昧なままだ。経済制裁の一部緩和について「拉致した人を探し出し、帰国させる動きがはっきりするまで解除してはいけない」との中山恭子首相補佐官の発言に代弁されるように被害者帰国に向けた動きが具体化しない限り解除すべきでないというのが大勢となっている。しかし、仮に核問題と同様に「約束には約束」「行動には行動」ということで先の日朝協議で合意しているならば、再調査開始と同時に制裁の一部を解除しなくてはならない。核問題をめぐる米朝交渉が示しているように日本が約束を履行しなければ、北朝鮮も再調査の開始を遅らせることになるだろう。

 三つ目は、再調査が北朝鮮単独になるのか、日本の捜査当局との合同捜査になるのか、日本の方針が固まっていないことだ。

 町村信考官房長官は6月29日、再調査に関し「調査方法や結果の検証方法について政府の方針を決めつつあり、日朝間で近々、具体化を図っていく」と述べていたが、自民党の伊吹文明幹事長によれば、日朝公式協議では「日本の警察関係者が関与して一緒に行う」ことで合意したそうだ。しかし、高村外相は日朝合同調査について「国内に日本が関与するのがいいのかという意見がある。主権のないところで(日本も)『関与した』と取られるのは嫌だという意見だ」と述べ、政府内に反対論があることを示唆していた。

 北朝鮮の一方的な再調査は信じられないし、さりとて、日本の捜査当局が加わっての再調査ということになれば、その結果に共同責任を負わなくてはならないとのジレンマーがある。

 日本の捜査当局が加わらない場合は、日本が唯一できることは北朝鮮の再調査結果の検証だ。

 町村長官は「「検証だけはしっかりできるような体制は作りたい」と語っている。しかし、再調査結果を検証するということは拉致被害者の安否に関して最終的に責任を持つ、即ち白黒の判定を下すことを意味する。

 政府認定の残り12人の拉致被害者については「全員生存」という前提に立っている以上、仮に一人であっても「死亡」と認定し、被害者家族に通告するようなことが果たして日本政府にできるだろうか。これが日本政府にとって一番頭の痛い難問だ。