2011年1月20日(木)

田口八重子さんはやはり生きていた!?

 田口さんの生存情報を日韓両国が昨年末、北朝鮮消息筋から入手していたとのことだ。

 「北朝鮮消息筋」とは誰なのか?内容からすると、韓国の「拉北者家族会」の崔成龍(チェ・ソンヨン)代表かもしれない。というのも、崔代表はすでに昨年7月の段階で「田口さんは平壌の万景台区域にある集合住宅に住んでいる。最近北朝鮮関係者から聞いた。既に日本政府に伝えた」と証言していたからだ。崔代表は同じ情報源から田口さんが韓国人拉致被害者と結婚したと聞いたことも明らかにしていた。

 今回の件は共同通信では「関係者によると、田口さんは平壌市万景台区域倉広通りの共同住宅で暮らし、78年にノルウェーで失踪した元高校教諭の高相文(コウ・サンムン)氏ら韓国人被害者の男性2人とともに行動する姿が目撃された。もう1人の韓国人男性は田口さんと結婚している可能性があるという」と報道されていた。

 崔代表の証言よりも、より詳細だが、「万景台で暮らしている」「共同住宅(集合住宅)で暮らしている」という点では全く同じだ。ちなみに「倉広通り」は漢字表記のミスで正確には「蒼光(チャングァン)通り」の間違いで、またノルウェーで失踪した元高校教諭の高相文氏は牧師である。

 田口さんが同じ拉致被害者の原敕晃さんではなく、韓国人拉致被害者と結婚していたことは帰国した拉致被害者の一人から「田口さんの運転手から『義挙者(ウィゴジャ)と結婚している』と聞かされた」との証言を得ていたので日本政府もすでに把握していた。

 田口さんの夫が本当に「義挙者」ならば、1978年当時北朝鮮は記者会見を開いて大々的に宣伝していたはずだ。そう多くないだけに当時の労働新聞を調べれば、直ぐに割り出すことができる。そうでないならば、485人いる韓国人拉致被害者の一人に違間違いない。

 拉致されてきた韓国人も北朝鮮では「自らの意思でやってきた」と宣伝しているからだ。もしかすると、77−78年に海岸から拉致された5人の高校生の一人の可能性も考えられなくもない。結婚直前まで田口さんと同居していた横田めぐみさんと結婚した韓国人の金英男(キム・ヨンナム)さんがそのうちの一人だったからである。金英男さんは78年8月、高校生の時に韓国の海岸から拉致されている。

 但し、金英男さんはめぐみさんよりも4歳年上だが、田口さんが77〜78年当時致された高校生の一人と結婚したとすると、4〜5歳年上ということなり、当時の北朝鮮にあって「姉さん女房」はやや不自然な気がしないでもない。

 横田めぐみさんの夫が、韓国人拉致被害者(金英男)であることを2005年11月に明らかにした崔代表はこの情報を「昨年(2004年)9月に、中国で極秘に会った北朝鮮の高官から得た」とソウルでの記者会見で語っていた。

 日韓の当局は田口さんの最新情報を崔代表から聞いたのか、それとも、崔代表の情報源である「北朝鮮の高官」や「北朝鮮の関係者」に直接会って、確認したのか、それが問題だ。