2011年12月22日(木)

子が父に責任転嫁して、拉致問題解決?

 朝鮮半島の父子関係で、日本人がもう一つ、気づいていないのは、子は親を裏切ることはないということだ。親の期待を裏切ることはあっても、人間的に裏切らないということだ。

 平たく言えば、息子が父親の威光をかさにするとか、利用することはあっても父親を犠牲に、スケープゴートにして己の保身を企てることはしないということだ。

 韓国では子供のころから「忠孝精神」の教育を施す。「忠孝精神」とは国家への忠誠、親への孝行を意味する。だからこそ、韓国では日本に比べて親殺しなどはまずは起きない、またその逆もない。

 拉致問題との関連で、拉致を主導した金総書記が亡くなったことから、拉致と無縁の正恩氏がその責任を父親に負わせれば、解決できるとの楽観論がまかり通っているが、水を掛けるようだが、以上のような理由からそうした手法による解決の可能性はないとみてよい。

 金総書記が金主席死後も金主席を絶対視し、父親の路線、政策を否定、修正せずそのまま継承してきたように金正恩氏もまた父親と同じ道を歩むのではないだろうか。

 血の繋がった息子ならば、死後裏切られることも否定されることもないとの理由から世襲にしたわけだから、拉致の罪を父親におっ被せて、拉致問題の解決を図ると期待するのは野暮な話だ。