2011年1月28日(金)

浮上した前原外相の「訪朝説」

 週刊新潮と週刊文春に前原誠司外相が拉致問題との関連で電撃訪朝するのではとのほぼ同じような内容の記事が載っていた。

 前原誠司外相は25日の記者会見で、取沙汰されている訪朝説について「現状において予定は全くない」と否定していた。「現状はない」ということは言い換えれば、将来は、あるいは条件が整えば行くかもしれないということの裏返しでもある。

 北朝鮮側との接触に意欲を示していた前政権下においても鳩山由紀夫首相自身が三重県の伊勢神宮で記者団の質問に「私はそれこそ機が熟せば、そして本当に必要なときが来れば、訪朝も考えていきたい」と言っていたことがあった。結局のところ、機が熟さず、決意表明だけで終わってしまった。

 前原外相が今すぐに電撃訪朝するような環境にはない。条件も整ってない。北朝鮮からの「お土産」があれば、話は別だが、北朝鮮が「土産」(拉致被害者の送還)を用意しているとの話も聞かない。

 前原外相の念頭にあるのは、訪朝ではなく、第三国で開催される国際会議の場で北朝鮮外相との接触、会談を指しているのだろう。また、6か国協議で進展が見られれば、棚上げになっている6か国外相会談の開催を想定しているのだろう。「今年の大きなテーマは日朝間の話し合いだ。6カ国協議あるいは多国間のみで扱うのではなく、拉致、ミサイル、核といった問題をじかにしっかりと2国間で話し合いができる状況をつくり出すことが大事だ」との前原外相の発言はその日に備えての発言だろう。