2010年6月5日(土)

菅直人新総理と朝鮮問題

 菅直人さんがとうとう総理の座を射止めた。

 菅さんは朝鮮半島についてはそれほど関心がある人ではない。

 市民派出身の菅さんは一見は「親朝派」にみられがちだが、必ずしもそうではない。

 日朝国交正常化推進議員連盟に属し、新党さきがけ時代の1995年に訪朝しており、民主党代表当時の1999年にも羽田孜最高顧問と一緒に訪朝を検討したこともあって、そのようにみられているのかもしれない。しかし、2002年に拉致問題が沸騰してからは、スタンスは随分と変わった。

 民主党代表として迎えた2003年の総選挙直前に韓国の刑務所に15年間収監されていた日本人拉致の実行犯の一人である辛光洙(シン・グァンス)長期死刑囚の釈放を金大中(キム・デジュン)大統領に求める嘆願書に社民党の土井たか子代表(当時)らと共に署名したことを自民党から暴露されて以来、国民の目を意識してか、一転北朝鮮に厳しい対応を取り始めている。この年の11月の小泉総理との党首会談では「北朝鮮をテロ国家に指定し、送金停止の措置を取るべきだ」と強硬発言を行なっていた。

 しかし、その一方で、拉致問題と日朝関係打開のため思い切った提案をしていることを知る人は少ない。2004年1月のNHKテレビでの討論番組では「思い切って、金正日総書記を日本に招請したらどうか。招請に応じれば、一つの打開になる」と「金正日招請」という大胆な提案までしたことがある。

 鳩山前総理は、退任に際してのお別れの会見で遣り残したこととして「北方領土の問題」を挙げていたが、「あらゆる工夫をこらして解決する」「積極的に取り組むところをお見せしたい」と大見得を切った拉致問題については一言も触れぬままだった。何もできなかったのだから、本来ならば懺悔してしかるべきだろう。

 菅総理には是非、拉致問題を解決して、歴代総理が果せなかった国交正常化を成し遂げてもらいたいものだ。