2008年8月7日(木)

北京五輪での南北の金メダル予想

 北京五輪が8月8日から開幕する。韓国からは389人、北朝鮮からは134人から成る選手団が北京に派遣される。南北の金メダル獲得種目及び選手を予想する。

 韓国:金メダル10個、総合10位が目標

 韓国の五輪出場は1948年のロンドン大会から。金メダルを初めて獲得したのは1976年のカナダ・モントリオール。レスリングで1個(総合で19位)を獲得した。1980年のモスクワ大会はボイコットし、84年のロサンゼルス大会で金メダル6個(総合10位)を獲得して量産体制に入る。1988年の地元ソウル大会では倍の12個(4位)を獲得。92年のバルセロナでも12個(7位)。96年のアトランタからは7個(10位)、2000年のシドニー8個(12位)、そして前回2004年のアテネで9個(9位)と、10個を割っていた。 今回の北京大会では選手団389人(選手267人、役員112人)が出場する。選手267人の内訳は男子160人、女子107人である。金メダルの獲得目標は10個以上。総合10位内を目指す。金メダル有望種目はアーチェリー、テコンド、柔道、バドミントン、重量挙げ、水泳、レスリング、体操、射撃の9種目である。

 ●アーチェリー(2〜3個)

 前回のアテネでも金3個、銀1個を獲得したことから今回も最低でも2個は確実視されている。男子では世界選手権覇者のイム・ドンヒョン選手(22歳)が、女子ではアテネ五輪個人と団体の優勝者パク・ソンヒョン選手(25歳)と過去W杯2回優勝のユン・オッキ選手(23歳)の金メダル獲得が有力視されている。

 ●テコンド(2個)

 正式種目となった2000年のシドニーでは金3、銀1個。前回のアテネでも金2、銀2個と、2回連続して4つのメダルを獲得した。韓国の国技だけに今回も金メダル2個は間違いないとみられている金メダル候補は男子では68キロ級のソン・テジン(20歳)、80級以上のチャ・ドンミン(22歳)の二人。女子では57級のイム・スジョン(22歳)と67級のファン・ギョンソン(22歳)の二人。ファン選手は2006年アジア大会金メダリストで、05年、07年の世界選手権大会での金メダリストでもある。

 ●柔道(1個)

 シドニーを除いて1984年のロサンゼルス大会から五輪では金を獲得している種目である。アテネでも金、銀、銅それぞれ1個メダルを獲得するほどのメダル獲得種目である。 北京では2人の男子選手に期待が集まっている。60キロ級に出場するチェ・ミンホ選手(28歳)と73キロ級のワン・ギチュン(20歳)選手。アテネ銅メダリストのチェ選手は韓国で「小さな巨人」と称されている。日本からは60キロ級には平岡拓晃選手が、73キロ級には世界選手権銀メダリストの金丸雄介選手が出場する

 ●バドミントン(1個)

 1992年のバルセロナで五輪種目に採用されて以来2000年のシドニーで金メダル獲得に失敗した以外は、4つの大会で延べ金5個、銀6個、銅3個を獲得してきた、韓国得意の種目である。前回のアテネでも金1、銀2、銅1個を獲得している。今回も男子ダブルス、女子ダブルス、男女混合ダブルスで金メダルを狙っているが、前回のアテネで金メダルを獲得した男女混合ダブルスでイ・ヨンテ、イ・ヒョジョン組での獲得が有力視されている。個人では男子エースのイ・ヒョンイル選手(28歳)に期待が集まっている。

 ●重量挙げ(1個)

 アテネでは金が取れず、銀2個に終わったが、今回は、昨年の世界重量挙げ選手権女子75キロ級で優勝したチャン・ミラン選手(25歳)に金メダルの期待がかかっている。

 ●水泳(1個)

 前回のアテネではメダルゼロだった水泳では男子400メートル自由形で今年最高記録を出したパク・テファン選手(19歳)が水泳陣の中では金メダルに最も近い選手として注目されている。

 ●レスリング(1個)   

 アテネ金メダリストのチョン・ジヒョン(25歳)がグレコローマン60キロ級で連覇を狙う。日本からは60キロ級には06年のアジア大会優勝者の笹本睦選手が出場する。

 ●体操(1個)  

 体操では男子の平行棒に期待がかかっている。アテネ銀メダリストのキム・デウン(24歳)と銅メダリストのヤン・テヨン(28歳)の両選手が金メダルに挑戦する。キム選手は第40回機械体操選手権大会平行棒金メダリストでもある。

 ●射撃(1個)

 1992年のバルセロナでは女子の10mエアライフルと男子の50mピストルで金メダルを獲得した韓国だが、以後の大会では金メダルに縁がなかった。今回は、男子のチン・ジョンホ選手(29歳)がエアライフル10mと50mピストルで16年ぶりに金メダルを狙う。


 北朝鮮:12年ぶりの金メダルを目指す

 北朝鮮選手団は総勢134人(選手63人、役員71人)。前回のアテネでは9種目に36人の選手を派遣したが、今回は12種目に約倍の63人が出場する。北朝鮮が五輪に初めて出場したのは1972年のミュンヘン大会。選手団は88人(選手60人、役員28人)。射撃でリ・ホジュン選手が世界記録で金メダルを獲得。また、ボクシングのライトフライ級で銀を獲得。初参加で3つの銅を含めて5個のメダルを獲得し、総合で22位の成績を記録した。

 1976年のカナダのモントリオール(90人。8種目に60人の選手)ではボクシングバンタム級でク・ヨンジョ選手が米国の選手をKOで破って金メダルを獲得している。モントリオール大会では総合で前回よりも順位を一つ挙げ、21位。しかし、1980年のモスクワ(101人、8種目に57人の選手)では金メダルはゼロで、銀3つ、銅2つに終わり、総合でも26位と順位を下げた。その後、1984年のロサンゼルス五輪と1988年のソウル五輪はボイコットして、不出場。

 12年ぶりの1992年のバルセロナ大会では98人(11種目に65人の選手)を派遣。ボクシングのフライ級、レスリングの48キロ級と52キロ級で金メダルを獲得。また体操のあんまでも金メダル。金4つ、銀5つを獲得し、総合で日本を抜き、過去最高の16位の成績を収めた。1996年のアトランタ(70人、選手46人)ではケー・スニ選手が48キロ級で田村亮子選手を破り金メダル。またレスリング48キロ級でキム・イル選手が連覇して、金メダル金2個、銀1個、銅2個の成績を上げたが、総合順位は33位と大幅に下げた。2000年のシドニー(61人、10種目に32人の選手)では最高が女子重量挙げ58キロ級での銀1個。52キロ級に出場したケー・スニ選手は銅メダルに終わった。レスリングのグレコローマンの54キロ級とボクシングの48キロ級で銅が二つ。総合順位は60位と過去最低だった。

 前回のアテネ(69人、9種目に36人の選手)でも北朝鮮は銀4、銅1個に終わり、またもや金メダルを逃した。57キロ級に階級を上げて出場したケー・スニ選手は決勝で敗れ、銀メダル。また、金メダルが確実視されていたシドニー五輪女子重量挙げ58キロ級の銀メダリストのリ・ソンフィ選手と卓球のキン・ヒャンミ選手、ボクシング57キロ級のキム・ソングッ選手の3人とも銀に終わった。総合順位は前回よりも3つあがり、57位。今回の北京五輪では選手63人を派遣し、12年ぶりの金メダルの獲得を目指す。金メダル有望種目は柔道、重量挙げ、ボクシング、射撃、レスリングの5種目。

 ●柔道(1個)

 男子3人、女子4人が出場するが、女子57級のケー・スニ選手に期待が集まっている。シドニー(銅)、アテネ(銀)で金を逃したものの01年、03年、95年、07年と世界選手権大会では4回連続で金メダルを獲得するなど金メダル最有力候補である。日本からは佐藤愛子選手が出場する。男子ではアジア柔道選手権大会73キロ級で優勝したキム・チョルス選手も期待されている。

 ●重量挙げ(1個)

 男子4人、女子3人の7人が出場するが、男子のチャ・クムチョル選手(21歳)は2007年世界選手権大会で56級スナッチ(128キロ)、ジャーク(155キロ)とトータルで283キロを挙げ、総合1位に輝き、優勝している。

 ●ボクシング(1個)

 ボクシングからは唯一キム・ソングク選手だけが出場。アテネ五輪フェーザー級で銀メダルを獲得。昨年シカゴで行われた世界ボクシング選手権大会でも銅メダルを獲得した有力な金メダル候補である。この階級には日本からは清水聡選手が出場する。

 ●射撃(1個)

 男女合わせて6人の選手が出場するが、アテネの50mピストルの銅メダリストのキム・ジョンス選手が期待されている。

 ●レスリング(1個)

 出場する3人の選手の中ではグレコローマンのチャ・グァンス選手が今年のアジアレスリング選手権大会で銀メダルを取っている。

 このほか、▲女子サッカー(18人)▲体操(女子2人)▲卓球(男子3人、女子2人)▲アーチェリー(2人)▲マラソン(男子3人、女子3人)▲ダイビング(男子1人、女子3人)▲シンクロ(2人)に出場するが、注目の世界ランキング6位の女子サッカーは昨年W杯優勝のドイツと準優勝2位のブラジルと同組に入ったことで予選通過は厳しいとみられている。