2010年4月12日(月)

北朝鮮犯行説が急浮上した「韓国哨戒艦沈没事件」

 韓国海軍の哨戒艦「天安艦」(1200トン)の沈没事故(3月26日)から2週間以上が経過した。沈没の原因は諸説流れ、依然として原因は不明のまま。

  沈没の原因については

 @暗礁に衝突した。

 A老朽で疲労破壊した。

 B内部爆破を起こした。

 C機雷に触れた。

 D魚雷攻撃にあった。

 など様々な説が取り沙汰されているが、どれもこれも異論反論があって韓国政府当局も簡単には結論付けられないでいる。

 しかし、時間が経つにつれて、北朝鮮の魚雷攻撃による沈没との見方が有力となってきた。その理由として、主に以下の8点が挙げられている。

 @爆破規模が大きかった。

 A事故発生前後に現場を管轄している北朝鮮の海軍基地に配属されていた潜水艇2隻が出航し、そのうちの1隻の行方が確認されていない。

 B天安艦の艦長が事故直後に第二艦隊司令部への第一報で「攻撃された」と報告していた。

 C援護に駆けつけた別の哨戒艦(束草艦)が行方不明の乗組員の救助を優先せず、北上する未確認物体を北朝鮮の戦艦と判断し、76mm砲を130発発砲した

 D金鶴松国会国防委員会委員長が「機雷か魚雷のどちらかだ」との軍の見解を明らかにしていた。

 E金泰英国防長官が「機雷よりもっ魚雷の可能性が高い」と発言していた。

 F穏健な鄭夢準ハンナラ代表が7日「北朝鮮の仕業とわかった場合の対応策を今から考えておかなければ」と語っていた。

 G北朝鮮関連説に慎重だった李明博大統領も7日に「適当に原因調査し、発表したら罪を犯した者が認めないかもしれない。先進国の専門家と国連まで加えて調査を徹底的に行い、事故原因について誰も否認できないようにし、その後、政府は断固とした措置を取る」と「北朝鮮犯行説」を念頭に入れた発言をしていた。

 但し、漁民や専門家の間では

 @現場は水深20〜30メートルと浅瀬で、潜水条件としては適してない。

 A蟹などを取る網が仕掛けられていて潜水は困難である。

 B1998年に網に引っかかって座礁した苦い経験を持つ人民軍偵察局が同じような愚を冒すはずはない。

 C強力な爆発物によるものならば、損傷した死体や浮遊物、さらに死んだ魚が大量に浮かぶが、そうした残滓が少ない。

 

 いずれにせよ、沈没船は早ければ今週中にも引き揚げられる。米国、豪州、英国、スウェーデンなど外国の専門家を交えた合同調査が行われるので、早晩白黒がつく。

 「容疑者」として関与を疑われている北朝鮮は沈黙を守ったままだが、2001年に奄美大島に浸透し、自爆自沈した工作船については当初、自らの工作船であることを否認し続け、「日本のでっち上げ」を主張していたが、日本政府による引き揚げが決まると、金正日総書記自らが小泉総理に自らの船であることを自白したことはまだ記憶に新しい。