2010年9月28日(火)

金正恩大将で決まり!

 北朝鮮の国営放送が金正恩氏が大将になったと発表したことで、これで後継者は正恩氏で決まりだ。おそらく後継者に相応しい党の重要なポストに就くだろう。お披露目される公算は高くなった。

 大将の称号は軍人の専売特許だ。これまで軍人にしか授与されなかった。それが、金日成総合軍事大学を卒業した際に上尉(大尉と中尉の間の称号)だった27才の若者に、それも卒業してまだ3年しかたってないのに大将に進級させるとは、総書記の子息だから、後継者だから成せる技なのだろう。

 大将という階級がいかに高いかは、15人いる軍人らの肩書きをみれば一目瞭然だ。そのうち何人か挙げてみよう。

 李英鎬(リ・ヨンホ)人民軍総参謀長、金総書記の軍事ブレーンである呉克烈(オ・グンリョル)国防委員会副委員長、国防委員の金正覚(キム・ジョンガク )軍総政治局第一副局長、同じく国防委員の禹東則(ウ・ドンチク)国家安全保衛部首席副部長、朱相成(チュ・サンソン) 人民保安相、金総書記の作戦ブレーンである金明国(キム・ミョングク)軍総参謀部作戦局長、金総書記の現地視察に常に随行している国防委員会局長の玄哲海(ヒョン・チョルヘ)軍総政治局常務副局長、金元弘(キム・ウォンホン)軍保衛司令官、それに尹正麟(ユン・ジョンリン)保衛司令官らいずれもそうそうたる面々だ。

 正恩氏の場合は、軍事学校に通い、2004年からは3年間自ら志願して第5軍団歩兵部隊で軍隊生活を送るなど言わば軍歴があるので、まだ理解できるが、実妹の金慶喜(キム・ギョンヒ)党軽工業部部長と、全く軍歴のない崔龍海(チェ・リョンヘ)黄海北道党書記にまで大将の称号を授けるとは正直驚いた。

 女性が大将の称号を授与したのは北朝鮮歴史上初めてである。長い間、党内にあって経済部門(軽工業)を担当してきた金慶喜氏に大将の肩書きを授けたのは、おそらく金日成主席のパルチサン同志、崔賢(チェ・ヒョン)初代人民武力相(国防大臣)の子息である崔龍海氏ともども軍を指導する党の軍事委員に登用するつもりなのだろう。

 昨年6月に15年ぶりに表舞台に姿を現した実妹の金慶姫氏は、夫の張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長兼党行政部長ともども正恩の後見人となるのは間違いない。夫の張成沢氏よりも慶喜氏こそが実力No.2とみていたが、彼女は、これから毛沢東亡き後、睨みを利かせていた江青のような存在になるのではないだろうか。