2010年6月26日(土)

W杯北朝鮮は一から出直しを!

 北朝鮮―コートジボワールの試合結果は0−3。北朝鮮の完敗だ。

 開始早々に2点を先取されたのを見て、ポルトガル戦の再現かと一瞬頭をよぎったほど北朝鮮の戦いぶりをみていて、勝てそうな雰囲気は微塵も感じられなかった。

 今大会32の出場国の中で3戦全敗は2連敗中のH組のホンデュラスが今朝のスイスとの最終戦で引き分けたことで日本、オランダ、デンマークに敗れたE組のカメルーンとG組の北朝鮮だけとなった。但し、両チームの試合内容を比較すると、カメルーンは得点2、失点5に対して、北朝鮮は得点1、失点12。同じ3連敗でも、カメルーンは善戦したと評価できるが、北朝鮮はまさに惨敗に終わった。

 コートジボワール戦をみて、北朝鮮の敗北は戦術的なものでないことがわかった。ボールコントロール、ドリブル、キープ力、パス回し、ロングパスの精密度、ヘッディング、スピード、状況判断、瞬発力、反射神経、体力、持久力、精神力どれをとっても、劣っていることがわかった。これでは勝てるはずはない。あの、ブラジル戦がなんだったのか、不思議なぐらいだ。

 大量失点されたポルトガル戦の二の舞をなんとか避けようと、守備重視の試合を行った結果、確かに失点は3点で済んだが、試合内容は決して褒められたものではない。

 野球に例えれば、4人で守る内野を9〜10人で守って固めたわけだから、失点を3で防げたのはある意味では当然の帰結だ。

 決勝トーナメント進出のため最低でもポルトガルを上回る8点を挙げなければならなかったさしものコートジボワールもこれではお手上げだ。それでも3点を取ったわけだから、コートジボワールの実力が並大抵でない。仮にオフサイドの2点とシュートがバーに当たっていなければ、北朝鮮はもう4〜5点取られていたかもしれない。

 コートジボワール戦は、大人と子供というか、玄人と素人が戦っているような錯覚すら陥った。

 ボール支配率は8−2から9−1。とにかく、開始から終了までずっとコートジボワールが責め続けていた。北朝鮮のシュートは2度のフリーキックを含めて前半後半合わせて3〜4回ぐらいしかなかった。決定的なシーンは鄭大世のたったの1回だけだ。これでは勝てるはずはない。

 北朝鮮のチームはもう一度基礎からスタートし、サッカースタイルを根本的に変えない限り、この世界の厚い壁は簡単には越えられないと思った。

 スカパーのアナウンサーも解説者も北朝鮮に好意的な解説をし、また何度も励ましていた。同じアジア人として、また隣人として北朝鮮の「奮闘」を称え、一貫して優しい解説に終始していた。政治の世界と異なり、スポーツ解説者はフェアー精神に徹しているからいい。

 キム監督は試合後、今回の出場で「二つの教訓を得た」と語っていた。一つは、将来に向けて成長の基盤を作ったこと、それと「最後まで戦い抜くことができたことが得た教訓である」と。

 北朝鮮は今回の屈辱を忘れず、教訓を生かし、是非強いチームをつくり、次回の大会でリベンジしてもらいたいものだ。