2011年12月12日(月)

早くも噴出した李大統領ファミリースキャンダル

 来年で実質的に任期を終えることになる李明博政権が早くも末期症状に陥っていることにある。

 李明博政権が末期症状に陥っている現象として大統領一族周辺にまつわるスキャンダルがある。

 ソウル中央地検は10日、企業グループの元会長らから政官界ロビー工作を依頼され、金品を受け取ったとして、大統領の実兄である与党ハンナラ党の実力者、李相得(イ・サンドク)議員の秘書を、特定経済犯罪加重処罰法違反の疑いで逮捕した。SLSグループの元会長(起訴済み)らからロビー工作を行う見返りに、現金約7億ウォン(約4750万円)や高級時計などを受け取ったとの容疑だ。さらにこの秘書は第一貯蓄銀行の会長からも1億ウォン以上の現金を受け取りロビー工作を行っていたことも判明した。

 検察は最近、秘書にロビー工作を依頼したこの会長から「李明博(イ・ミョンバク)大統領の金潤玉(キム・ユンオク)夫人の従妹にあたるセハン学園理事のキム・ジェホン氏にも現金3億ウォンを渡した」との証言を確保し、近くキム氏からも事情を聴く予定だとのことだ。キム理事は最近出国禁止の措置を講じられている。

 不正疑惑は何も側近だけではない。李大統領自身にも及んでいる。

 李大統領にはソウル市江南区論ヒョン洞に私邸があるが、警備上の理由などから退任後に住むには適切ではないと判断し、今年5月に同区内谷洞への移転を決め、土地(合計2605平方メートル)を購入した。

 ところがである。この土地の一部が李大統領の長男、始炯(シヒョン)氏の名義で購入され、始炯氏と大統領室の共同所有となっていることが判明し、野党などは土地を息子名義で購入していたことは「不動産実名法に違反している」ばかりか、問題の土地は李大統領がソウル市長時代の2006年にグリーンベルトから解除したことで土地の価格が急騰した場所であることから開発の利益があることを見込んだうえで、息子の名義で土地を安く購入したのは「業務上背任にあたる」として、現職の大統領を告発したばかりである。

 李大統領側は土地代のうち「6億ウォンは夫人名義土地を担保に銀行から借り入れした額で、残り5億2千万ウォンは親せきから借り入れた」と原資について説明しているが、名義についてはキム・インジョン大統領前警護室長が「私が息子さんの名義で購入しようと(大統領に)建議した」と語り、李大統領が承知していたことを裏付ける発言をしている。

 韓国では大統領が退任後に汚職や不正容疑などで告発されたケースはあるが、在任中に現職の大統領が告発されたのは李大統領が初めである。仮に有罪であっても現職中は逮捕されることはないが大統領退任後に刑事処罰は不可避だ。

 野党陣営は大統領が退任する日を手ぐすねをひいて待っているが、最近では懲役18年の実刑判決を受けた台湾の陳水扁前総統は在職中の収賄罪でまた、ティモシェンコ前首相は同じく在職中のロシア産天然ガス輸入契約をめぐる職権乱用罪で禁固7年の実刑判決を受けたが、李大統領もまた不動産実名法違反と背任の容疑が掛けられようとしている。

 仮に有罪となれば、李大統領親子共に5年以下の懲役、2億ウォン以下の罰金の刑が待ち受けているが、秘書が逮捕されたことで実兄の李相得氏、さらには妻方の一族の不正疑惑への調査次第では、李大統領ファミリーも例にもれず、歴代大統領と同様の運命が待っているのかもしれない。