2009年4月1日(水)

「核の小型化に成功?」驚かない!

 昨日時事通信が、北朝鮮がプルトニウムを使用した核爆弾の小型化に成功し、中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)用の核弾頭を製造した可能性がある、と米韓情報当局が分析しているとの記事を配信していた。ノドン用の核弾頭を製造しているということは、ノドン・ミサイルに装着できることを意味する。

 ゲーツ米国防長官は、三日前のテレビ番組「フォックス・ニュース・サンデー」で米国防総省は「北朝鮮がミサイルに弾頭を搭載する能力があるとは考えてない」と発言していたが、時事通信が情報源として引用した国際的な非政府組織(NGO)「国際危機グループ」(ICG)の発表が事実なら、ゲーツ長官の発言は嘘ということになる。

 北朝鮮の核実験後、日本国内では「ミサイルにはまだ核を搭載できない」と、北朝鮮の核搭載能力には懐疑的な見方が支配的だが、実は米国の核・ミサイル専門家からは「ノドン・ミサイルに核弾頭を装着できる能力を持っている」との主張が出ていた。

 例えば、科学・国際安全保障研究所のデイビット・オブライト所長はロイタ−通信とのインタビュ−(06年11月2日)で「我々は北朝鮮が核弾頭をノドン・ミサイルに装着できると評価している」と語り、また、軍事専門シンクタンクである「グロ−バル・セキュリティ」のジョン・バイク所長も「北朝鮮が中距離弾道ミサイルに核兵器を装着できる能力を持っていることをなぜ疑うのか理解できない。北朝鮮はすでに数年前にそうした能力を手にした」と、オブライト所長の意見に同調していた。

 オルブライト所長もバイク所長も06年7月5日のミサイル発射実験について「模型の核弾頭をノドン・ミサイルに装着し、発射実験を行った可能性がある」と警告していた。

 さらに、米DIAのロ−ウェル・ジャコビ−情報局長も米上院軍事委員会(2005年3月29日)での証言で「米国防省情報局は北朝鮮が核弾頭ミサイル搭載能力を保有しているとみなしている」との認識を明らかにしていた。

 核爆弾の小型化についてもIBMリサ−チセンタ−のリチャ−ド・コ−エン研究員やプリンストン大のフラン・フィ−デル教授らが「北朝鮮はノドン・ミサイルや短距離ミサイルにも搭載できるよう核弾頭の小型化を推進してきた」と述べていたし、不拡散政策教育センタ−のヘンリ−・ソルコフスキ−所長にいたっては「北朝鮮は核兵器小型化の一つの目安とされる1、000kgの小型化に成功した」と語っていた。

 さらに、北朝鮮が3年前に実験して、「失敗に終わった」と日本では認識されている核実験についても前出のオブライト所長は「北朝鮮が試みたのはノドン・ミサイルに搭載できるよう核爆弾の直径を縮小することにある。彼らは粗雑な核爆弾でそうしたことができる」と発言していた。

 北朝鮮もまた、6か国協議の首席代表である金桂寛次官が「核能力を証明した国がこれを運搬する手段を持ってないのは愚かなことだ。我々がただ地下で爆発させているだけに見えるか。それだけで大きな意味があるだろうか」と核弾頭搭載可能性を示唆する不気味な発言を行なっていた。