2010年12月25日(土)

中国が韓国の軍事演習に警告!

 今日で、韓国軍の陸海による軍事演習が終了する。

 米紙ウォール・ストリートジャーナルが23日付で米政府高官の話として、中国が北朝鮮に自制を求めたと伝えていた。胡錦濤主席の親書を持参し、今月9日に訪朝した戴秉国国務委員による金正日総書記への説得を指しているのだろう。

 金正日総書記は来月19日から訪米する胡主席の顔を立て自制に応じたのだろう。その条件として、胡主席にオバマ政権への橋渡しを依頼したことは間違いない。

 「我慢するように」との米ニューメキシコ州のビル・リチャードソン知事の説得も自制した一つの理由だろう。

 今月16日に訪朝したリチャードソン知事は23日、帰国後の記者会見で今回の訪朝がオバマ政権の承認の下で行われたことを明らかにした。リチャードソン知事によれば、本来はもっと早い時期に訪朝する予定だったが、オバマ政権の意向によって2度も延期されていたとのことだ。

 朝鮮半島の軍事緊張が高まったタイミングに合わせるかのように訪朝を許可された同知事は、平壌滞在中の18日に金桂寛外務第一次官や軍関係者らと相次いで会談し、韓国の軍事演習に対抗措置を取らないよう要請。北朝鮮はそれに答えた格好となったが、リチャードソン知事は帰国後に「北朝鮮が引き続き自制するなら米国は6か国協議再開を考慮すべきである」と発言していた。

 中国の人民日報傘下の「環球時報」は23日付一面で「韓国は北朝鮮を脅し、反撃したがっている」と同様の分析をしていた。そのうえで、「中国が警告しても、効果がないならば、韓国を動かす他の方法を考慮しなければならない」と韓国への圧力行使まで示唆していた。

 韓国検察当局が本日、中国漁船が黄海で韓国の警備艇に体当たりし沈没した事件で、韓国世論が「無礼な中国」と反発し、李明博政権に対して毅然たる対応を求めていたにもかかわらず、中国人乗組員3人を起訴せず、不起訴処分としたのは、こうした中国の怒りを和らげるための苦肉の策なのかもしれない。

 英字紙「チャイナーデイリ」には人民大学国際関係学院副院長の「韓国が軍事的刺激を継続しているのは北朝鮮がすでに自制の段階に入ったと判断しているからだろう」とのコメントが掲載されていたが、同副院長は「北朝鮮は韓国との軍事的対峙よりも米国との平和協定に関する論議を最終目的にしている。米国が北朝鮮の反応を注視しなければ、反復される韓国の軍事訓練への北朝鮮の忍耐も限界となるだろう」と、不吉な見通しを語っていた。

 ちなみに、環球時報は中国の専門家20人を対象に「韓国軍の軍事訓練で朝鮮半島で軍事衝突が起きるか」とのアンケート調査を実施したが、85%が「可能性がある」と解答していた。

 韓国軍は来月も延坪島付近で射撃訓練を計画している。