2012年5月15日(火)

実現しなかった中国元外相の「金正恩面談」

 中国国際友好連絡会親善代表団の団長として訪朝していた李肇星元外相は結局、金正恩党第一書記に面会できぬまま昨日帰国した。

 平壌に到着した翌日の8日、金永南最高人民会議常任委員長に会い、その席で金正恩氏への贈り物を伝達していたので、金正恩氏との面談はこの時点で消えていたのかもしれない。

 表敬訪問は通常は帰国直前に会うのが慣例となっているが、金委員長が12日にシンガポールとインドネシア歴訪に出発するため前倒しにセットされたようだ。

 金正恩第一書記が李元外相と会わなかった理由は三つ考えられる。

 一つは、最高司令官、党第一書記、国防第一委員長の最初の外国賓客として政治局員でも政治局員候補でもない李元外相は相応しくなかった。

 次に李元外相の訪朝が北朝鮮の3度目の核実験に中国側の懸念を伝え、自制を促すことが目的だったので最初から会う気はなかった。

 三つ目に、会うつもりだったが、直前に北京で行なわれた日中韓首脳会談で温家宝総理が日韓と一緒になって北朝鮮の核実験に反対を表明したばかりか、「北朝鮮に正しい判断をするよう誘導すべき」とか「住民の生活を優先させるべき」と言って、北朝鮮の内政に干渉したことに反発し、断った。

 どちらにせよ、金第一書記が李元外相の表敬訪問を断ったことで、核実験に踏み切る可能性は依然として残されている。