2010年2月9日(火)

「王家瑞訪朝」で「金正日訪中」か

 朝鮮中央通信によると、王家瑞中国共産党対外連絡部長は昨日、金正日総書記に会い、胡錦濤総書記(国家主席)からのメッセージを伝えたようだ。

 一部外電は胡総書記がメッセージを通じて6か国協議復への復帰を説得したのではないかとの憶測を伝えているが、むしろ改めて訪中を招請したのではないだろうか。

 北朝鮮が国連安保理の「ミサイル発射非難決議」に反発して6か国協議をボイコットしたのが、昨年4月。それ以降、中国からは武大偉外務次官、戴秉国国務委員、陳至立全国人民代表大会(全人代)副委員長、温家宝首相、そして梁光烈国防相が相次いで訪朝し、説得を試みたが、金総書記から色よい返事を貰えなかったのが実情だ。

 但し、金総書記は温総理との会談では6か国協議再開には反対しないとしながらも、復帰への条件としては「米朝交渉の進展」を挙げ、非核化の条件としては「米朝の対決関係を平和関係にしなければならない」と平和協定締結を優先するよう求めた。

 先(1月18日)の外務省報道官の談話では「6カ国協議が再び開催されるためには、同協議を破たんさせた原因がいかなる方法でも解消されるべきだ」と指摘し、先に制裁を解除するよう新たな条件を付けた。

 「自主権の侵害を受けながら、同権を侵害した国と同じテーブルに着き、自主権守護を目的に保有した抑制力について協議することは、プライドが絶対に許さない」と強調していた。

 要はプライド、自尊心の問題だ。換言するならば、大義名分があれば、面子が立てば、出る用意があるということだ。

 北朝鮮からすれば、中国もまた安保理決議に賛成し、北朝鮮の自主権を侵害した国の一つである。北朝鮮の論理からすれば、議長国の中国もまた、6か国協議を破綻させた責任があるとの捉え方だ。

 従って、その中国が、金総書記の訪中を招請、歓迎し、「償い」としての大規模の経済援助を行い、さらに三つの条件のうち一つでも米国など関係国が受け入れるならば、6か国協議に速やかに復帰するという計算ではなかろうか。