2005年9月21日(水)

軽水炉供与時期をめぐる解釈で相違

 軽水炉の供与時期の解釈をめぐって米朝が鋭く対立している。

 北朝鮮はNPT復帰の条件に軽水炉の供与を求めたのに対して米国はNPT復帰とIAEAの査察後の供与を譲らない。軽水炉は米国にとっては将来の問題で、北朝鮮にとっては身近な問題というのがギャップが生じている要因のようだ。果してこんなことで最終目標に到達できるのだろうか。合意文を交わすために2年かかったことを考えると、残りの3年任期のブッシュ政権下で核問題の全面解決が可能とは思えない。仮に、北朝鮮が「ポストブッシュ」まで想定しているようだと、北朝鮮はブッシュ政権下では核を放棄しないだろう。

 米国も核の平和利用の権利を認めた以上、どこかの時点で軽水炉を北朝鮮側に供与しなくてはならない。咸鏡北道新浦で建設中の軽水炉は現在中断状態にあるが、建設再開を条件に北朝鮮にNPTへの復帰を働きかけるのも一つの手かもしれない。実はここには総工費(45億ドル前後)のうちすでに3分の1にあたる14億ドル近くが費やされている。韓国が10億ドル、そして日本も約4億ドル(建設費=3億6千万ドル、KEDO運営費=3千3百万ドル)も投じている。

 ヒル国務次官補は「どの国も北朝鮮に軽水炉を与えるつもりはない」と言っていたが、そうだとすると、これまでの金はドブに捨てることになる。韓国も日本も本音では北朝鮮が核放棄を確約すれば、建設を再開してもいいと考えているものと思われる。ちなみに米国は軽水炉建設費用には1ドルも出していない。