2005年5月18日(水)

中国が打診したライス訪朝は実現困難

 日本経済新聞(5月17日)が複数の米朝交渉筋の話として李肇星中国外相が13日に行ったライス国務長官との電話会談で北朝鮮の核問題を一括解決するため訪朝を打診したと報じた。北朝鮮の依頼を受けての打診なのか、あるいは中国独自の要請によるものなのか定かではないが、実現の可能性は乏しい。

 確かに、一度は北朝鮮を「圧制国家」と呼んだライス国務長官が6か国協議の再開に向けて一転して「主権国家」と言い直し、さらには6カ国協議の枠の中で米朝交渉に応じる意思があることを表明したこともあって事態は6か国協議に向けて好転の兆しが見えはじめていた。おそらく中国は「脈がある」と判断して働きかけたものと推測されるが、どうやら中国の一人相撲となりそうだ。

 ライス国務長官は中国の期待に反し、その日の夜にCNNテレビとのインタビューで北朝鮮を「強制収容所そして人民を餓死させる恐ろしい国」と、再び持論を展開した。これに対し北朝鮮も即座に外務省スポークスマンを通じて反論し、「ライスは嘘つきの恥知らずの女だ」「口がひん曲がっても言うことは真っ直ぐに言え」と物凄い人身攻撃を行っていた。

 この「米朝バトル」をみると、ライス訪朝は考えられない。ブッシュ政権はクリントン前政権の対北政策の問題点として、2000年10月のオルブライト国務長官の訪朝を挙げていた。

 当時、野党だった共和党は「オルブライト長官は北朝鮮に手玉にとられ、してやられた」と批判していた。同じ轍は踏まないというのがブッシュ大統領の教訓ですので中国がどう仲介しても無理だろう。