ブログやホームページでは書けない貴重なニュースをお届けするために
メールマガジン「辺真一のマル秘レポート」を2014年1月から毎月2〜3回発刊します。
月額550円、初月は無料ですので以下からご登録をお願いします。
ご登録はこちらから
大統領就任以来、文在寅が固執する北朝鮮との統一。
日本人にとっては「反日国家」のイメージが強い両国ですが、
もしも朝鮮半島の統一が実現したとすると……
・南北統一=真の国交正常化を意味する
・資源の中国依存を解消
・中国の海洋進出阻止が可能となる
など、巨大反日国家の誕生どころか、日本を救う可能性が高くなります。
決して「絵に描いた餅」とは言い切れない驚愕のシミュレーションをまとめた一冊
建国記念日(9日)での演説で核戦力の強化を強調した金正恩総書記(労働新聞から)
米海軍と海兵隊による米韓合同上陸訓練(双竜訓練)が終了(9月7日)する前日に「鳴りを潜めている北朝鮮軍の出方が今後、注目される」と、予測していたが、北朝鮮が今朝、弾道ミサイルを平壌一帯から日本海(東海)に向け発射したようだ。
ミサイルの発射は2発発射された7月1日以来、実に73ぶりである。それでも日本列島を通過しなかったことから大きなニュースにはならず、騒がれることもなかった。毎度のことでどうやら無頓着となってしまったようだ。
韓国(合同参謀本部)の発表では午前7時10分頃に発射されたのは短距離弾道ミサイル(SRBM)でそれも「数発発射された」とのことである。
建国記念日に演説する金正恩総書記(朝鮮中央通信から)
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は9日、建国76周年を党と政府及び軍幹部らと記念した席で演説し、水害復旧を含めた民生、経済全般について語ったが、国防部門では核問題について以下のように言及していた。
仁川市の野原に落下した北朝鮮のゴミ風船(仁川市消防署配信)
北朝鮮のゴミ風船が5日連続で韓国側に落下し、韓国はその対応に苦慮しているようだ。
ソウル市内にある以北5道委員会の「庁舎」(以北5道委員会HPから)
脱北者出身の「国民の力」の池成浩(チ・ソンホ)前議員(42歳)が「寄付金品法違反容疑で裁判に掛けられ、罰金刑(2千万ウォン)を宣告された」とのニュースが飛び込んできた。
池氏は北朝鮮の咸鏡北道会寧市生まれで1996年の食糧危機時に石炭を盗もうとして列車に轢かれ、左の手と左の足が切断されるなど重度の身体障害を負いながらも18年前に松葉杖をついて中朝国境を越え、中国経由で韓国に入国した。議員時代に訪米し、ホワイトハウスでトランプ大統領(当時)に面談し、脚光を浴びたことはまだ記憶に新しい。
池氏は北朝鮮人権団体「ナウ(NAUH)の代表をしていた2020年までに登録庁に届けず、国民から後援金(28億ウォン=約3億1565万円)を集めていたことが問題視され、罰せられたようだが、池氏の現在の肩書がなんと、咸鏡北道知事になっていた。先月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領によって咸鏡北道知事に任命されていたとのことだ。
韓国が引いた北方限界背(NLL)と北朝鮮が引いた海上境界線(筆者作成)
北朝鮮が9月4日、5日と2日連続で韓国に向けゴミ風船を飛ばしていた。特に5日は午前と午後2度飛ばしていた。
韓国の脱北団体の対北宣伝ビラ風船に対抗して北朝鮮がゴミ風船を飛ばしたのは5月26日。それ以降、6月に6回、7月に3回、そして8月は10日の1回だけだった。北朝鮮は8月10日を最後にストップしていた。
その理由について韓国のメディアなどは金正恩(キム・ジョンウン)総書記をターゲットにした韓国軍の拡声器放送を止めさせるため「自粛しているのかも」とか「あまり効果がないから」とか、「物不足でゴミを集められないから」とか、あるいは豪雨に見舞われた平安北道や慈江道、両江道の「水害復旧に追われ、ゴミ風船どころではないのでは」と、様々な解説を流していたが、いずれも的外れだった。
救援物資を求め集った慈江道の被災者と姜鳳勲党書記(労働新聞から筆者キャプチャー)
昨晩、ケーブルテレビ向け放送「TV朝鮮」の夜9時のニュースをインターネットで見ていたら、アナウンサーが7月末に北朝鮮の地方都市、慈江道で発生した水害の「死者が3500〜4000人に達していた」と放送していた。他のメディアではどこも扱っていないので「TV朝鮮」の独自ネタのようだ。
「TV朝鮮」は北朝鮮の国営放送「朝鮮中央テレビ」とは何の関係もない。韓国の保守紙「朝鮮日報」系列のテレビ局である。
「朝鮮日報」は代表的な「反北」新聞である。それが故に北朝鮮からこれまでに何度も「爆破する」と脅迫され、韓国メディアの北朝鮮訪問取材が許されていた南北融和時代には唯一取材許可が下りなかったメディアとして知られている。
国会で野党議員の「戒厳令」関連質問に答える金龍顯次期国防長官(JPニュースから)
日本と自由、民主主義の価値観を共有しているはずの韓国で今時、「戒厳令」話が俄かに持ち上がり、与野党間で大きな論争となっている。
事の発端は、野党第1党の「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が9月1日に与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表との党首会談の場で「最近、戒厳令(が発令される)という話が頻繁に出ている」と切り出したことにある。
李代表は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が戒厳令の解除を国会が求めるのを阻止するため戒厳令の宣布と同時に国会議員を逮捕、拘禁するすることも計画しているとの情報も耳にしている」と、真顔で韓代表に語ったそうだ。
釜山で隠居中の文在寅前大統領(JPニュースから)
日本は政権が交代しても新総理によって前総理が裁かれることはない。与党内での政権交代であっても、また野党への政権交代であっても「政治報復」は皆無だ。
しかし、韓国は事情が異なる。政権交代の度に前政権に対する追及が行われるのが慣例、伝統となっている。言わば、前政権の追及は韓国のお家芸である。
直近の例だけでも盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は李明博(リ・ミョンパク)政権下で不正疑惑を追及され、自殺に追い込まれ、その李大統領も朴槿恵(パク・クネ)大統領ともども文在寅(ムン・ジェイン)政権下で在任中の職権乱用や背任容疑を追及され、収監されてしまった。
韓国の尹錫悦大統領(JPニュースから)
韓国の世論調査専門会社、「韓国ギャラップ」が今月27日から29日にかけて全国の成人男女約1千人を対象に行った世論調査の結果が本日(30日)発表されたが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率は20台前半の23%まで下落してしまった。前週よりも4ポイントも大幅ダウンしていた。
この低支持率は今年4月末に記録した21%に続き、政権発足(2022年5月)以来2番目に低い数字だ。自民党総裁選不出馬に追い込まれた岸田文雄首相の24%(8月26日の読売新聞の世論調査)よりもさらに1ポイントも低い。
下落の原因は物価高や医療改革や海兵隊員の殉職事故を巡る与党「共に民主党」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表との軋轢、それに韓国独立記念館長への親日人士の任命で端を発した「親日論争」などにあると分析されている。
韓国の国会議事堂(国会議事堂HPから)
韓国の国会公職者倫理委員会が昨日(29日)4月の第22代国会議員選挙で初当選、あるいは返り咲きを果たした元議員の計147人の資産を公開した。
聯合ニュースによると、147人の資産平均は約26億8100万ウォン(日本円で約2億9000万円)。総選挙前の(定数300人)289人の平均申告額は27億7882万ウォンだったので約1億ウォン下回っていた。
一方、2021年10月に当選した日本の衆議院議員(465人)の資産平均は2924万円なので韓国の国会議員の資産は10倍も多いことがわかる。
北朝鮮が8月27日に試射した240mm放射砲(朝鮮中央通信から)
北朝鮮が昨日(27日)、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立ち会いの下、久しぶりに放射砲(多連装ロケット砲)の試射を行っていた。今回は、超大型の600mm砲ではなく、240mm砲だった。
北朝鮮の240mm放射砲は射程60〜65kmで北朝鮮がかつて「ソウルを火の海にする」と威嚇した長距離砲である。
北朝鮮は1980年代に開発、生産された既存の240mm放射砲の改良を重ねているが、今年2月11日に国防科学院が誘導機能を備えた240mm砲の開発に成功し、4月25日と5月10日には金総書記の立ち会いの下、国防工業企業所で生産された240mm砲の試射を行っていた。
2022年9月に訪韓し、非武装地帯を視察したハリス副大統領(JPニュースから)
米大統領選の民主党候補であるカマラ・ハリス副大統領は8月22日(現地時間)に民主党大会で行われた大統領候補指名受託演説で金正恩(キム・ジョンウン)総書記の名前を挙げて、共和党の対立候補であるトランプ前大統領を激しく攻撃していた。
「金正恩」という名は日本でもそうだが、米国でも「悪の権化」「悪の代名詞」としてみなされていることから政争では対立候補を攻撃する際によく使われる。
ハリス副大統領は受託演説でトランプ前大統領が任期中に金総書記と首脳会談を行ったことを痛烈に批判し、「(私は)トランプを応援する金正恩のような独裁者、暴君に寄り添うつもりはない」と、トランプ氏との違いを強調していた。また、金正恩氏がトランプ氏のカムバックを期待しているのは「お世辞やゴマすりで(トランプ氏を)簡単に操作できると知っているからだ」とも発言していた。
ソウルでの日韓首脳会談(韓国大統領室から)
韓国は岸田文雄首相が次の自民党総裁選に出馬しないと表明してもほとんど関心を示していない。また、次の総裁の椅子を目指し10人以上の候補が手を上げ、これから本格的に総裁選がスタートするが、これにも関心を寄せていない。
岸田首相が8月14日の記者会見で不出馬を表明し、退任の意向を表明して以来、このニュースを韓国のメディアが社説で取り上げたのは大手紙「中央日報」を除き、皆無だった。
その「中央日報」の見出しも「米・日のリーダシップ交代・・・激変の国際情勢への対応に隙がないように」と、米大統領と絡めての扱いだった。
2016年4月に中国から集団脱北した北朝鮮レストラン女性従業員(JPニュース)
今朝の韓国の保守紙「朝鮮日報」に北朝鮮からのエリート脱北者が金正恩(キム・ジョンウン)時代になって2.5倍に増えたとの記事が載っていた。
同紙は北朝鮮担当部署の統一部から入手した資料に基づき、情報機関の「国家情報院」(国情院)が保護対象として分類しているエリート脱北者が「1997年以後、188人に達する」と報じている。内訳は、金正日(キム・ジョンイル)前総書記死去(2011年12月)までに54人、金正恩体制発足後134人となっている。
金親子体制下の脱北者総数は3万4012人。このうち金正恩体制下は2万3027人で、金正恩体制下は1万985人。エリート脱北者の比率は「金正日体制下の0.23%に比べて、金正恩体制下では1.22%と、5.3倍になっている」と、同紙は伝えていた。
米韓合同軍事演習に関する米韓の合同ブリーフィング(韓国国防部)
夏季の米韓合同軍事演習としては史上最大の演習「乙支フリーダムシールド(UFS=自由の盾)」が8月19日から韓国でスタートした。
韓国と対峙している北朝鮮は18日、外務省米国研究所の公報文を通じていつものようにこの演習を「侵略戦争演習」と非難しているが、米国防総省のライダー報道官は20日(現地時間)の記者会見で「UFS演習は長く続いてきた訓練であり、性格上防御的である」と述べ、北朝鮮の非難を一蹴していた。
夏の米韓合同軍事演習は1976年から2007年までは「UFL」(乙支フォーカスレンズ)、2008年から2018年までは「UFG」(乙支フリーダムガーディアン)の名称が使われてきた。
水害被害者平壌歓迎集会(朝鮮中央通信から)
夏季の軍事演習としては史上最大規模の米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」がスタートしたが、北朝鮮は7月に起きたトランプ前大統領の暗殺未遂事件とほぼ同じ時期に発覚したウクライナによるプーチン大統領の暗殺計画に衝撃を受けたのか、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の身辺警護を一段と強化している。
「最高尊厳」と称されている金総書記の警備、護衛は党、政府、軍内の担当部署がそれぞれ担っている。主に党中央委員会護衛処、国務委員会護衛局、それに最高司令部護衛局の3つである。いずれも「金正恩第一親衛隊」、「金正恩第一決死隊」と呼ばれている先鋭組織である。
国家首班である国務委員長を兼務している金総書記の視察や儀典の警護を担当しているのは国務委員会護衛局(総局長:金哲圭(キム・チョルギュ)上将)である。警護の「最後の砦」と称されている金総書記のボディガード(SP)である。
授業参観する金正恩総書記(朝鮮中央通信)
北朝鮮は7月下旬に水害被害に見舞われ、家を失った北部地域の被災民を平壌に疎開させ、道路が復旧され、住宅や公共施設が新たに建設されるまでの間、政府が生活の面倒を見ることにしている。
被災民が臨時入所している「4.25旅館」では平壌市内の小学校、中学校の先生らを動員し、学童のための授業が行われているが、朝鮮中央通信は授業開始の初日(16日)に金正恩(キム・ジョンウン)総書記が教育準備状況をチェックするため授業参観を行っていたことを伝えていた。
被災民はその前日(15日)に平壌に到着し、宿舎に入居していたが、金総書記はその日のうちに早速宿舎を訪れ、食堂で食事する児童らと交わうなど被災民や児童らに寄り添う姿を見せ、労働新聞や朝鮮中央テレビなど宣伝メディアは連日、そのことを大々的に伝え、金総書記の「人民愛」を喧伝している。
尹錫悦大統領と金正恩総書記(大統領室と「労働新聞」から筆者キャプチャー)
北朝鮮との対話、和解、協力に軸を置いた文在寅(ムン・ジェイ)前政権の「朝鮮半島平和プロセスは完全に失敗した」と批判していた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は8月15日の「光復節」演説で初めて独自の「統一ドクトリン」を打ち出した。尹大統領の残りの任期は2年9か月である。果たして任期中に実現可能なのだろうか?
韓国のメディアの多くは保守系、進歩系問わず、残念ながら実現不可能とみている。おそらく、当の尹大統領自身も実現できるとは思っていないであろう。
尹大統領は「南北対話の扉は広く開かれている」と述べ、北朝鮮に実務レベルの「対話協議体」の設置を提案していたが、北朝鮮はすでに韓国を同胞ではなく、外国、それも「敵国」扱いにし、対話も交流も協力も一切やらないと、宣言している。
尹錫悦大統領(JPニュースから)
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は8月15日、日本の植民地支配からの解放記念日「光復節」の式典で演説し、断絶状態にある南北対話のために実務者が参加する「対話協議体」の設置を提案したものの、基本方針は「北の住民の自由を拡大することで統一を成し遂げる」とか「我々が自由民主主義統一を主導する」と言明していることからも明らかなように韓国主導の自由主義体制下による統一、即ち北朝鮮体制瓦解による韓国の吸収統一にある。まさに、尹大統領は韓国にとっては見果てぬ夢である吸収統一を追求しようとしている。
当然、尹大統領の演説への評価は与野党、または保守と進歩層では真逆の受け止め方をしているが、一般の韓国国民は今の金正恩(キム・ジョンウン)政権をどう見ており、尹政権の対北政策をどう評価しているのか、気になるところだが、韓国のKBSテレビが全国の成人男女1、664人を対象に8月1〜4日まで行った世論調査が興味深い結果を出している。
偵察衛星成功祝賀宴と訪露後の記念写真(右上)2枚とも金与正氏の隣(労働新聞から)
米CIAや韓国国家情報院(NIS)などが今、注視している北朝鮮の女性と言えば、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の夫人、李雪主(リ・ソルジュ)、娘の金主愛(キム・ジュエ)、妹の金与正(キム・ヨジョン)、秘書の玄松月(ヒョン・ソンウォル)、それに北朝鮮史上初の女性外相になった崔善姫(チェ・ソンヒ)の5人であろう。李母子と与正氏の3人は金ロイヤルファミリーの一員だが、玄秘書と崔外相はアウトサイダーである。
今では5人とも隠された存在ではない。北朝鮮のメディアによってある程度はオープンにされている。
李夫人(35歳)はすでに12年前にはお披露目されている。金正恩政権が発足した2012年7月に金総書記と共に陵羅人民遊園地竣工式に出席した際に「夫人」と紹介されてから今日にいたっている。
被災者を前に演説する金正恩総書記(朝鮮中央通信から)
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は3日前の8月8日に集中豪雨による水害に見舞われた平安北道新義州の被災地を専用列車で再び訪れ、「家を失い、野宿している被災地の人民に」(朝鮮中央通信)救援物資を届けたと、北朝鮮のメディアは伝えていた。
配信された写真を見ると、金総書記は改造した車両に設置された演壇から野外に集まった被災者らに向け演説を行った際、冒頭に「大災難に見舞われた皆さんが不便な臨時施設で不正常な生活を送ってからかなりの日が経ったが、お見舞いしたいというのは心だけでスカッと援助できなくて申し訳ない気持ちを禁じ得ない」と謝罪をし、頭を下げていた。実に珍しいことだ。
金総書記が人民の前で「自己批判」したのは2017年1月の新年辞で「いつも気持ちだけで、能力が追いつかないもどかしさと自責の念に駆られながら昨年を送りました」と述べた以来ではないだろうか。
ダイエットしていた3年前と今の金正恩総書記(労働新聞から筆者キャプチャー)
韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は7月29日に国会情報委員会全体会議での報告で金正恩(キム・ジョンウン)総書記の健康状態について「体重が140kgに達した過度な肥満状態であり、心疾患を発症するリスクが高い」と分析していた。
報告書で「国情院」は「現在の健康状態を改善しない場合、家族歴のある心血管疾患が発症する可能性がある」とまで言い切っていた。「家族歴」というのは祖父の金日成(キム・イルソン)主席も父の金正日(キム・ジョンイル)前総書記が心筋梗塞で亡くなった事例を指している。
韓国は金総書記の健康状態をまるで主治医のように毎年、周期的にチェックしている。他国の指導者の健康問題にここまで関心を払う国はおそらく韓国ぐらいであろう。
姪の「ジュエ」を丁重にエスコートする叔母の金与正党副部長(朝鮮中央テレビから)
先月(7月)末に韓国情報機関「国家情報院」(国情院)の新旧トップが金正恩(キム・ジョンウン)総書記の後継者について相反する意見を述べていた。
口火を切ったのは「国情院」の趙太庸(チョテヨン)現院長で後継者と目されている娘の「ジュエ」について7月29日の国会情報委員会の全体会議で「後継者としての教育を受けている」と報告し、遅まきながら「現時点における有力な後継者である」ことを示唆していた。
「国情院」は「ジュエ」が2022年11月に初めて登場した際には「第2子と判断している」と、国会情報委員会に報告したものの金総書記には「第1子の息子がいる」と付け加え、「ジュエ後継説」に組していなかった。昨年3月3日の報告でも「第1子は息子と把握している」と念を押していた。
直近の2021年7月に開催された「東京2020年五輪」は出場してなかったせいか、パリ五輪では北朝鮮選手らの動線が何かと注目されている。特に、北朝鮮から「もはや同胞ではなく、敵である」と、絶交を宣言された韓国は異常なほど関心を寄せている。
華々しい五輪開会式で韓国を「北朝鮮」と間違えられアナウンスされたこともあって本来ならば「君子危うきに近寄らず」で北朝鮮を遠ざけようするものだが、逆に距離を置こうとしていたのはむしろ北朝鮮のほうであった。韓国の選手が挨拶しても、記者会見で韓国の記者が聞いても無視し、まさに知らぬ存ぜぬで押し通していた。
肝心の成績はと言えば、韓国と北朝鮮の差は歴然としていた。
新型戦術弾道ミサイル発射台と演説する金正恩総書記(朝鮮中央通信から)
「泣いた烏がもう笑った」ではないが、1週間前に中朝国境を流れる鴨緑江の氾濫で国境都市・平安北道新義州が水害被害を被った時は落胆のあまり深刻な表情をしていたのに昨日(4日)は、いつもの勝気な金正恩(キム・ジョンウン)総書記に戻っていた。
金総書記は昨日、平壌で行われた新型戦術弾道ミサイル発射台の国境第1線部隊への引き渡し儀式に出席し、意気揚々演説をしていた。
北朝鮮のメディアでは紹介されていなかったが、朝鮮中央通信が配信した25枚の写真をみると、19枚目に式典会場に「ジュエ」とおぼしき娘の姿が写っていた。
空軍ヘリによる被災者救助活動を視察中の金正恩総書記(朝鮮中央通信から)
韓国と体制競争をしていた先代の金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)時代の北朝鮮は社会主義制度の優越性を強調することに腐心し、その裏面の事件や事故、不祥事などの恥部は極力覆い隠していた。
しかし、3代目の金正恩(キム・ジョンウン)時代になってからは父親の時には極秘扱にしていた妻子のお披露目から軍事機密扱いのミサイルの開発に至るまで限定的ではあるが、ある程度オープンにしている。
その一例として挙げられるのが、2014年5月の平壌市平川区で起きた23階建ての高層マンション崩壊事故だ。多くの死傷者が出たが、金総書記は党幹部や建設責任者らを現場に派遣し、遺族らに謝罪させ、その様子を写真付きで「労働新聞」で伝えていた。
平安北道新義州の水害(朝鮮中央通信から)
北朝鮮が「戦勝記念日」と称している朝鮮戦争休戦協定日の7月27日から降り続いた豪雨により中朝国境を流れる鴨緑江が氾濫し、平安北道・新義州市と義州郡では約4100世帯の家屋と3000ヘクタールの耕地、公共施設、道路、鉄道が浸水した。人命被害も少なくとも800人以上と推定されている。中国と国境を接している慈江道でも豪雨による被害が発生し、道路や鉄道及び公共施設などが破壊され、甚大なダメージを受けていた。
続きはこちらから尹錫悦大統領(左)と金正恩総書記(大統領室と「労働新聞」から筆者キャプチャー)
南北の当局が公然と予告していたことから7月は起きるかもしれない二つの出来事に備えていたが、いずれも空振りに終わった。
一つは、韓国情報機関・国家情報院(国情院)が予告した北朝鮮の海外でのテロである。
国情院はゴールデンウイークの最中の5月2日、北朝鮮が中国遼寧省・瀋陽やロシアのウラジオストク、ベトナム、カンボジア、ラオスなど東南アジア、さらには中東で韓国大使館職員や貿易マン、留学生ら一般居住者を狙ったテロを計画している兆候が「最近になって多数確認された」として、警報レベルを「関心」から「警戒」に2段階引き上げていた。
「警戒」はテロが実際に起こる可能性が高い状態を意味する。そのため韓国政府は直ちに「テロ対策実務委員会」を開催し、在外公館におけるテロ対策の総点検に入っていた。